2021年6月1日、派遣型風俗店に勤務する女性従業員のAさんが東京都立川市内のホテルの一室で殺害された。風俗店の男性従業員も廊下で刺され、全治3カ月の怪我を負った事件。
殺人と殺人未遂、銃刀法違反の罪に問われた当時19歳の男(21)の初公判が、東京地裁立川支部(新井紅亜礼裁判長)で開かれた。
弁護側は、男は犯行当時、責任能力がなかったとして無罪を主張した。初公判でも男は意味不明の言動を繰り返し、休廷を挟んで再開された公判でも無軌道な言動が止まず、ついには退廷を命じられた。
本籍地や生年月日を聞かれて「そうです」、決まった住所はあるかという質問には「ないです」と答えたものの、検察官が起訴状を朗読すると、ぶつぶつと事件とは関係のない発言を繰り返した。
「スターウォーズ…、インターポールに…、仮面ライダー…」
裁判長は「このあと、言い分を聞きますから」と、制止しようとしたが、起訴事実を確認する罪状認否の途中にも再び不規則発言を繰り返した。私は傍聴席の2列目にいたが、聞き取れた言葉の意味を理解することは難しかった。
「え? ゼロ……?」
「更新を受けて、完全にすべて……」
「被害者のAさんが……」
「バイオハザード……」
「ハリウッド……」
「会話ができる状態で、ただ巻き込まれた巨人の世界」
「仮面ライダー」
「セバスチャン」
「ツタンカーメンについて……とんでもない状況に陥っていて……」
被告人の男の不規則発言は止まらず、休廷となった。
再開の直前にも「スターウォーズ……、インターポールに……、仮面ライダー……。ウルトラ……、『世界まる見え』、『仰天ニュース』の……、ビートたけし……、ターミネーター……、北極と南極に眠る巨人……、自分もアーノルド・シュワルツェネッガーになると言われ……、ツタンカーメンの戦争……、とんでもない状況になっている……」などと独り言のように呟いていた。
弁護士が制止しても「それくらいいいです」とやめようとせず、不規則な言動が繰り返されたため、裁判長が退廷を命じた。すると、「まだ言いたいことがある。ジャーナリストを呼んで。バルキリー……」と何かを言いかけたが、そのまま法廷から出された。