小池百合子都知事は、1982年に出版した初の自伝『振り袖、ピラミッドを登る』で公表したプロフィールをはじめ、「カイロ大学文学部首席卒業」という学歴を売りにして、番組アシスタントからキャスターとなり、1992年には国会議員に転身。その後環境大臣、防衛大臣を歴任して、今や首都・東京を統べる都知事となり、権力の階段を駆け上がっていった。
しかし2020年に出版された、ノンフィクション作家・石井妙子氏の『女帝 小池百合子』は、小池氏の半生を徹底的に取材し、小池氏の語る「華麗な物語」に多くの疑問や矛盾、疑惑があることを検証。当時20万部を売り上げるベストセラーとなった。
コネ入学する、とあっけらかんと話していた
特に話題となったのは、小池氏のカイロ留学時代を詳細にする当時の同居人が、小池氏の留学生活の実態を詳細に語った点で、「カイロ大学卒業」という経歴自体に、非常に大きな疑問があることを証言した点だ。
単行本では仮名だったこの元同居人は、文庫化にあたって初めて実名に切り替えて覚悟のビデオ取材に応じ、改めて小池氏の学歴詐称疑惑について、石井妙子氏に語った。
彼女の本名は北原百代(きたはら・ももよ)さん(82)。
北原さんによると、小池氏はカイロ大学の入学については「お父さんと(当時のエジプト副首相の)ドクター・ハーテムが仲が良いから、2年生から編入できるように今交渉中だから大丈夫」と言ってコネ入学する、とあっけらかんと話していたという。また、小池氏のアラビア語能力については「たまたま見た彼女のノートに書いてあったアラビア語は、本当に初級も初級、たどたどしいものだった」と語る。
さらに小池氏がカイロ大学を卒業したと公表している1976年の試験の結果は、「本人が『ダメ(落第した)だった』と言っていて、教授と交渉しても『あなたは最終学年ではないから追試を受ける資格がないと言われた』と落胆していた」と、決定的な証言をしている。
そして1976年10月に起きたある出来事が、小池氏のその後の運命を大きく変えた、と話す。小池氏の「学歴詐称」はどのように始まったのか? 北原さんが実名ですべてを語った。