宝塚歌劇団・宙組に所属する劇団員(享年25)が自死した事件をめぐり、11月14日、劇団側は記者会見を開き、外部の弁護士による調査チームの報告書を読み上げ、「いじめやハラスメントは確認できなかった」などと発表した。しかしその直後、遺族側の代理人弁護士も記者会見を開き、「(ハラスメントについては)劇団側は事実関係を再度検証し直すべき」と反論。両者の主張は真っ向から食い違っている。
宝塚で何があったのか。「週刊文春」がこれまでに報じてきた記事のスクープ速報を再公開する(初出:2023年10月25日/年齢・肩書きは当時のまま)。
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9月30日午前7時ごろ、兵庫県宝塚市のマンションに住む宝塚歌劇団宙組の劇団員・有愛きい(25)が、マンション敷地内で死亡しているのが見つかった事件。
週刊文春は有愛が亡くなる前日の29日、母親に〈精神的に崩壊している……〉といった趣旨のメッセージを送っていたこと(#2)、さらに28日には、有愛は同じ宙組の上級生から「集団リンチのような目にあっていた」(宙組の生徒)こと(#3)を報じてきた。
木場建之理事長の言動に非難が殺到
今回取材班は新たに、劇団の内部音声を入手。約50分に渡る音声(「週刊文春」電子版で音声動画公開中)からは、有愛の死に動揺する下級生と「間違った本人が悪いんです」などと語る上級生との間の温度差が浮き彫りになった。
また、劇団は有愛の死を受け、当初10月22日まで宙組公演を休演し、その期間中に第三者の弁護士による調査の完了を目指すとしていたが、後に調査期間の延期を発表している。
宙組関係者が、宝塚歌劇団の木場健之理事長の後手に回った対応に首を傾げる。
「今でこそ聴取時間は希望すれば2時間前後の場合もありますが、木場理事長は当初、宙組の生徒たちに対し、『調査は1人30分で行います』という趣旨の発言をしていました。2週間足らずで形だけの調査をするという意図が透けて見える言動に非難が殺到しました」
宝塚歌劇団に木場理事長の発言について質問状を送ったところ、以下の回答があった。