ネット起業ブームが終わり外食チェーンブームへ
2つ目の話題は、中国のトレンドの変化が爆速すぎる件について。
中国では、ネット起業ブームが終わりました。投資家からの投資が減ったことで、ネット企業は資金面で余裕がなくなり、中国はネット氷河期を迎えています。一方で、外食チェーンや食品ブランド、化粧品ブランドが次々と登場しました。中国伝統の要素と現代のトレンドを融合させたナショナルブランドを支持する動き「国潮(グオチャオ)」という言葉をキーワードに、新しい外食チェーンがショッピングモールに次々と開店していく様は、まさにブームといっていいでしょう。
外食チェーンは、例えばミルクティーをはじめとしたドリンクチェーンや、火鍋チェーンなどのレストランチェーンになるわけですが、数多くの外食チェーン店が以前のネット起業のように融資を受けて成長し、店舗を増やして急拡大しました。「ラッキンコーヒー」や「海底撈火鍋」が有名どころですが、小規模の新興企業も資本を調達しては、中国各地のショッピングモールに開店しています。筆者が中国を訪問したときも、オープン記念限定半額キャンペーンを展開して客を集めているチェーン店を何軒も見かけました。
ただ、急拡大した後の管理体制が不十分なのが懸念点です。また、最初は新しいもの好きの消費者が食いつきましたが、継続性があるかどうかは微妙なところ。場合によっては、一気にしぼんでいく可能性もあります。外食チェーンだけでなく、お菓子を売る小売チェーンや、化粧品メーカーや化粧品チェーンも数年のうちにトレンドの変化に追いつけず、規模を縮小していくかもしれません。
なぜ筆者がそう考えるのか。ここで1つのニュースを紹介しましょう。
品質問題と爆速すぎるトレンドで、起業してもあっという間に…
35歳のある中国人男性が、勤めていた深センのネット企業を辞め、故郷の湖南省でミルクティーショップを開業しました。男性は下調べをしたうえで、中国で有名な「王老吉(ワンラオジー)」が展開するミルクティーショップ「1828王老吉」のオーナーになることを選択。25万元(約520万円)を払ってフランチャイズ加盟店となり、最終的には2か月間で80万元余り(約1700万円)をかけてミルクティー店をオープンします。
本部の指示で、ネットで露出するための広告費を投じ、低価格キャンペーンを実施。さらに、飲食店ランキングでランクインするよう指示されたので、身内もフル動員して多くの人に買ってもらったそうです。
その結果、露出は増えて若者が集まり、ランキングに登場するようにもなりました。しかし、「1828王老吉」のミルクティーはそれほど味が評価されていないこともあり、出費に対するコンバージョンは低く、毎月大赤字になってしまいます。