A:市区町村では東京都世田谷区。都道府県では東京都。
意外に思われるかもしれませんが、日本でもっとも空き家が多いのは東京都世田谷区で、4万9000戸あるといわれています。おそろしい数です。そうです。空き家問題は地方で生じていると思われがちですが、実は都市部でも発生しているのです。
一つ目の理由は、東京都は人口が集中しているため、そもそも住宅数全体が他の市区町村より圧倒的に多いことです。統計調査では、戸建てのほかにアパートやマンションの部屋も物件数に含まれます。母数が多ければ、当然、空き家も増える傾向にあります。
二つ目の理由は、東京都心で働くサラリーマンのベッドタウンとして、高度経済成長期に急激に人口が増加した地域であること。高度経済成長期に東京に引っ越してきたファミリー層が高齢になり、亡くなったり施設に入所したりするタイミングが今です。その上、子どもたちの側に代々家を受け継ぐという意識は薄く、家を出て別の住まいを持っているケースが多い。
別の場所で家を持ってしまった子どもたちは、もはや実家に戻ることはないでしょう。これは空き家が生まれる基本的なメカニズムで、こうして世田谷区には空き家が多いのです。
都道府県別「空き家率ランキング」
では、都道府県別に見るとどうでしょうか。
空き家率(全戸数に対しての空き家の割合)が全国でもっとも高いのは、1位が和歌山県で、次いで徳島県、鹿児島県、高知県、愛媛県となっています。
別荘や、ときどき誰かが泊まるために自宅とは別に所有している家(二次的住宅)などを含めると、1位は山梨県、次いで和歌山県、長野県、徳島県、高知県及び鹿児島県となっています(総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計」による)。