放置し続けると、処分に2000万円かかることも……。ここでは、お父様が遺した家を処分しきれずにいたタレントの松本明子さんの失敗エピソードを紹介。

 メディア出演多数の空き家コンサルタント・和田貴充氏の新刊『今すぐ、実家を売りなさい 空き家2000万問題の衝撃』(光文社)より一部抜粋してお届けします。(全2回の2回目/前編を読む)

父が遺した家の処分に悩み続けた、松本明子さんの失敗とは? ©三宅史郎/文藝春秋

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なぜ「使える状態」の空き家が放置されているのか?

 日本で90パーセント以上の家は、十分使える状態なのに空き家のままになっているのです。それはなぜでしょうか?

 一番多く見られる理由は、手を付けるのが面倒だから。固定資産税や火災保険などの出費があったとしても、税金を払っていた方が気持ちの上では楽に感じるくらい、おっくうなのです。

 あるいは、兄弟や親戚の間での意向がまとまらない。兄弟や親戚の揉め事になるくらいなら、放っておいた方がいい。そんな事情も見られます。

 そして、そのこんがらがった糸をどうほぐしたらいいか分からない。どこから手を付けたらいいか分からない。

 そうして持ち主が気持ちに踏ん切りをつけられず放置されている物件には、誰も住んでいなくても、毎年の固定資産税や火災保険、電気やガス、水道などの公共料金、庭木の剪定代などがかかってきます。自分が住んでいる家なら必要経費と思ってあまり気になりませんが、住んでいない家による出費は気が重いものです。

 そして、10年も20年も空き家のままにしていたら、500万円、1000万円といつの間にか出費が累積してしまうのです。さらに、人が住んでいない期間が長いほど家は傷んでしまいます。たとえ空き家の活用方法が見つかっても、遺品整理や残置物撤去などの片付け代やリフォーム代がかさんでしまいます。

 片付けでは、ゴミの処分費用そのもの以上に作業の人件費が大きく、100万円単位でかかります。ちなみに片付け業者に頼むときには、見積もりにバラつきが出ることが多い業種なので、必ず数社に見積もりを出してもらって選ぶことをおすすめします。リフォーム代も家が傷んでいるほど、当然高額になります。結局、長年家を放置していたために、2000万円くらいかかってしまった……ということになりかねないのです。

 本当に? と思うかもしれませんが、10年以上放置しているという相談はたくさん寄せられますし、2000万円という値段もまったく珍しい話ではありません。

 タレントの松本明子さんも、そうした空き家問題に直面したお一人です。