【ミカボ】
『TVer』配信に先立って有料配信されていた『FANY Online Ticket』の動画では、ネタの音声の大半がカットされていて物議を醸した。今回の配信では音声が生かされていて、問題作の全貌を知ることができる。
危なっかしいところを抜きにしても、漫才のフォーマットはよくできていて、大きな笑いも取れている。準々決勝で負けたのは惜しいと言える逸材である。
ネタ動画:https://tver.jp/episodes/epbw2s831d
一般人の投票で1組だけが準決勝に復活
ちなみに、準々決勝で敗退した芸人には、復活のチャンスが与えられている。「ワイルドカード」というシステムがあり、一般人の投票で選ばれた1組だけが準決勝に進むことができるのだ。TVerのネタ動画を一通りチェックした上で、ぜひ投票にも参加してみてほしい。
TVerのM-1全体ページ:https://tver.jp/specials/m-1gp-2023/all23-1127
ここからは、ストレートに準決勝に進んだ30組のうち、個人的に期待している3組を紹介しよう。
【きしたかの】
ツッコミ担当の高野正成(左)は、リアクション芸の新星としてドッキリ企画などでバラエティ出演の機会が増えている。ボケ担当の岸大将(右)は、大きな体に似合わず繊細で理知的なお笑いセンスの持ち主。2人のYouTubeチャンネル「高野さんを怒らせたい。【きしたかの】」は彼らの魅力が詰まった人気チャンネルだ。
すでに業界内ではネクストブレーク候補と言われている彼らだが、大型賞レースのファイナリスト経験はない。このチャンスをものにして飛躍してほしい。
【シシガシラ】
「容姿いじり」が敬遠されるこの時代に、脇田浩幸(右)のハゲいじり一本で漫才をやり続けている異端の漫才職人。ハゲいじりの引き出しの多さと掘り下げの深さでは右に出る者はいない。脇田が自ら仕掛けるハゲネタはただの自虐にとどまらない味わいがある。
『M-1』では準々決勝の高い壁に阻まれ続けていて、今年初めて準決勝進出を果たした。薄毛の人もそうではない人も、何も気にせず心から笑える良質のハゲいじりを堪能してほしい。
【くらげ】
2019年の『M-1』で結成2年目にして準決勝進出を果たして話題になったコンビ。さまざまなフォーマットの漫才をひねり出す頭脳と、それを形にする表現力を兼ね備えている。今年も新しい「技」を開発して見事に準決勝まで駒を進めた。
何をしでかすかわからない、つかみどころのないその芸風は、まさにふわふわと海中を漂うくらげのようだ。
12月7日開催の準決勝を経て、12月24日には決勝の模様が朝日放送・テレビ朝日系列で生放送される。新たなスターが生まれる瞬間を見届けてほしい。