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「ダメダメダメダメ!」歌舞伎町で“屈強な男”に囲まれ逃げ場ナシ…タレント・赤井沙希(36)がプロレスデビューを決意した経緯

『強く、気高く、美しく 赤井沙希・自伝』より #3

2023/12/02

genre : エンタメ, 芸能

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 雑草魂と言われていて、それにお客さんは気持ちを乗せて、「この人はただ目の前の相手と闘うだけじゃなくて、いろんなものを背負って闘ってんのや」とか思うと、胸がいっぱいになりましたね。あと、初めて両国国技館に行ったとき、なぜか息苦しくなって「溺れた!」と思ったら、真様(中邑真輔)のオーラで溺れていたこともあります(笑)。 

「いちゃダメな人っていないんだな」

 真壁選手にプロレスデビューの報告をしたとき、「プロレスラーは控室を出る瞬間から、控室に帰るまでがプロレスラーだから」と言われたんですよ。リングを降りても控室に帰るまでレスラーでいないとダメだっていう言葉をいただいて、当時は意味がよくわからなかったんです。けど、デビューしてみてその意味がわかりました。さすがだなと思いますね。

 新日本のことを喋る上で、他団体のことも知っておいたほうがいいと思って、ドラゴンゲート、ノア、全日本、DDT、レジェンドプロレスも観に行きました。 

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 新日本を観るようになって、「今風の人も多いんだな」「真様かっこいい!」とか思うようになったんですけど、DDTは「え、かわいい!」と思いました。キュートという意味ではなくて、漫画みたいだなあって。お尻を出して闘っている人もいれば、いまだと踊って闘っている人もいるし、パワーポイントで試合中に分析している人もいるし、刺青を入れたヤクザみたいな人がいたり、元お相撲さんがいたり。アパレルメーカーとコラボしたり、アイドルとコラボしたり。いろんな可能性、いろんな面白みがあって、「いちゃダメな人っていないんだな」と思いました。

©文藝春秋

お客さんは盛り上げてくれるチームの一員

 DDTを初めて観に行ったとき、試合前、お客さんが銀色の包みを配っていたんですよ。スイートポテトかなにかかと思いました。顔馴染みの人に「これ作ってきたから食べて」みたいな感じかと。そうしたら、選手がリングコールされた瞬間、みんな包みを開けてリングに投げたんです。紙テープだったんですよね。紙テープが舞っている様がすごく綺麗で、感動しました。

 紙テープを投げていただく側になってみて、お客さんを含めて、いまこの空間を作っているんだなあと感じます。DDTは「ドラマティック・ドリーム・チーム」の略なんですけど、わたしはお客さんも含めてのチームだと思っているんですよ。東京ドーム大会を開催するとか、業界ナンバーワンを目指すとか、DDTは常になにか目標を掲げていて、お客さんも一緒にそこを目指していると思っています。紙テープひとつとっても、お客さんは空間に彩りを添えて、盛り上げてくれるチームの一員なんですよね。

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