今月12日にプロレスラーを引退した、タレントの赤井沙希さん(36)。彼女は、元プロボクサーで俳優の赤井英和さんを父に持つことで知られている。両親が幼い時に離婚し、父親の記憶がほとんどないまま育った赤井さんは、芸能界デビューがきっかけで、14年ぶりに父親と再会。その後、“赤井英和の娘”というレッテルに悩みながらも、芸能界とプロレス界で活躍してきた。
そんな彼女が、自身の半生を綴った著書『強く、気高く、美しく 赤井沙希・自伝』(イースト・プレス)を上梓した。ここでは同書より一部を抜粋し、赤井沙希さんの幼少期や父・赤井英和さんのエピソードを紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
◆◆◆
ふとしたときにテレビに映る父
わたしはそうやって、母と姉と祖母と暮らしていたんです。でも日常の中で、ふとしたときにテレビに父が映ったりするんですよ。関西なのでCMにもよく出ていて。
父の記憶はないけど、認識はしていたので、一瞬、動きが止まるんですよね。それがちょっと、なんだろう……嫌でしたね。わたしにとって元々存在していなかった人だけど、「この人がお父さんなんだ」と思っていて、そういう人が自分の意識しないタイミングでテレビの中でいきなり爆笑してたりすると、「えっ……」って。大体、あの人って爆笑してるじゃないですか。上を向いて笑っている。「わたしは笑えない」と思ったり。ただ、母はわたしに父のことを悪く言ったことは一度もないので、「どんな人なんだろう?」とずっと思っていました。わたしのこと知ってるのかなとか。
「お父さん、普段どんな人なの?」と聞かれても分からない
幼稚園のとき、父が運動会をこっそり見に来たことがあります。サングラスをしていたんですけど、他の父兄さんにもサングラスをしている人がいたんですね。それで父は「なんであいつは芸能人じゃないのに、サングラスをしてるんだ」っていちゃもんを付けたらしいんですよ……。そうしたら「赤井英和や!」って騒ぎになって。「沙希ちゃんのお父さん、赤井英和なんだ」ってバレたんですよね。
「お父さん、普段どんな人なの?」とか聞かれても、うちにはいないからわからなくて。「赤井英和の娘として喋ったほうがいいのかな?」とか、生まれて4、5年しか経っていないのに気を使った覚えがあります。みんなが望む答えを言わなきゃいけないのかなとか。