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「プロレスラーにならないか」

 2013年3月にラジオが終わっても、プロレスを観続けました。DDTは第1試合からメインまで個性豊かなキャラクターがいて、おもちゃ箱をひっくり返したような団体だなと思っていました。推しはとくにいなかったんですけど、団体全体のことが好きで、よく観に行っていました。

 プロレスって、わたしはお仕事で関わることがあったから観てきたけど、普通に生きていたら知らない人がいっぱいいるじゃないですか。そういう人たちが少しでもプロレスを観るきっかけを作りたいなと思って、ブログにプロレス観戦記を書いていたんです。技とか歴史の知識があるわけじゃなかったので、面白いか面白くないかとか、観たままの感想を書いていました。

 そうしたら、DDTの高木三四郎社長がその噂を聞いたみたいで、歌舞伎町のエビスコ酒場に呼び出されたんですよ。もしかして「プロレスラーにならないか」と言われるんじゃないかと思って、ビクビクしながら行きました。

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©文藝春秋

どんなことを言われても、一旦持ち帰ると決めていた

 お店に入ると、社長、飯伏幸太さん、中澤マイケルさん、KUDOさん、伊橋剛太さんがいました。AV出演の説得をするとき、外堀を埋めるって言いますよね。まさに「埋められてるやん!」と思って、これは逃げ道がないし、絶対にここで曖昧なことを言っちゃいけないと思いました。適当に「楽しそうですね~」とか言ったらダメだと思って、どんなことを言われたとしても「一旦、持ち帰らせてもらえますか」と言おうと思っていました。

 社長に「楽しいよ、プロレス」と言われて、「ダメダメダメダメ!」と内心焦ったんですけど、8月にDDTが「両国国技館大会2DAYS」をやると。1日目が、ファッションブランドや特撮、アイドルなどプロレス以外の業界とコラボする日。2日目は、DDT年間最大のビッグマッチ。まず1日目に、モデルとしてファッション ショーに出て、2日目にデビューしてほしいと言われて……。「やっぱり来たか!」 みたいな。

 その年の4月に愛川ゆず季さんが引退されたばかりで、社長は「女子プロレス界に派手な話題がほしいんだよね」と言っていて、「なんでこの人は男子の団体の社長なのに、女子プロレスの心配をしてるんだろう?」と思いました。飯伏さんは顔見知りだったので、「大丈夫?」と心配してくれましたね。「一旦、持ち帰らせてください」 と言って、その日は終わりました。