11月26日、千葉・いすみ市の住宅の庭で捉えられた映像。あたりの匂いをクンクンかぎながらカメラに興味津々な様子の動物は、害獣の「キョン」だ。
閉園した施設から逃げ出した個体が野生化し、過去10年で約3倍の約7万1500頭(2022年度)に増加しているという。
閉園した施設から逃げ出し野生化
いすみ市の住宅の庭に、まるでペットのようにすみ着いてしまったという。
住人:
最近、家の脇の木の陰で寝てるんですよね。そこにすんでます。いつもここにいるんですよ。たしかに毎日いる。
取材するディレクターの方を見て警戒する様子や、道路を渡る姿見られた。
もともと、中国や台湾などに生息していたキョン。約20年前に閉園した勝浦市の施設から逃げ出した個体が野生化し、千葉県南部で大繁殖しているとみられる。
その数は年々増え続け、2012年度は約2万7900頭だったのが、2022年度は約7万1500頭となり、過去10年で約3倍になっている。
農業を営む男性(70代):
これなんか食べられたの。キョンが食べたの。せっかくいいナスができてもね、もう全然商品にならない。
「以前は人の顔を見ると逃げて行ったのに…」
野菜や果物など様々なものに被害を出すことから、環境省は特定外来生物に指定しているが、急激に人に慣れたことで問題を深刻化させているという。
地面に横になっているキョン。取材班が近づくと警戒するようにこちらを向く。
立てた耳をこちらに向け、いつでも逃げられるよう体勢を整えているように見えるが、手を伸ばせば触れられそうな距離まで近づいても逃げようとしない。
かつてキョンといえば、離れた場所からでも人の姿を見つけると、すぐに逃げ出す臆病な動物と言われてきた。
しかし、最近のキョンについて、地元住民(80代)は「今もう慣れて、そこにいても、私が向こう側でシッとやっても知らん顔して、『ん?』という感じで見てきます」という。
また、農業を営む男性(70代)は 「脅かすっていうかね、あれしても平気な顔になっているの。バカにされちゃってる」「慣れてきたのかね、前は人の顔を見ると逃げて行ったんだけど、今はなんかお友達って感じだよな」と、すっかり人に慣れてしまったと話す。
なぜキョンは、急激に人に慣れてしまったのか。
アジア動物医療研究センターのパンク町田センター長は、「エサが不足したために民家まで下りてくることによって、人間に対する恐怖心も失ったということです」と分析する。
そして「もし、町中でキョンと出くわしてしまった場合は、決して触れないことをおすすめします。なぜならば、狂犬病など感染症のリスクもありますし、マダニなどの感染のリスクもあるからです」と注意を呼びかけた。
(「イット!」11月27日放送より)