今回の受賞がこれまでで一番嬉しい
角川 これから韓国、台湾、香港と、海外でも公開されていくんだよね。
石井 そうですね。年明け以降になると聞いています。
もともと河村さんはこの映画を作るにあたって、「インディペンデントの映画ではなく、商業映画として多くの人に見せたい」とおっしゃっていました。こういった題材だからこそ、小規模でセンセーショナルにするのではなく、大きく構えた作りにしたいと。だから脚本も、200館以上の大規模な公開を想定して書きました。蓋を開けてみたらKADOKAWAの撤退もあり、小規模公開にならざるを得ませんでした。でもそのアンバランスな感じも、結果的には良かったのかなと今では思っています。
角川 僕はこれまで何本もの制作に携わってきましたが、映画って、一本一本、運命があるんですよ。だからこの作品は、石井さんやスタッフ、出演者の方々が頑張って、何とか「吉」を手繰り寄せた。そのご褒美が最終的に受賞に繋がったんだと思います。
石井 僕もこれまでいくつか賞を貰いましたが、実は今回の受賞が一番嬉しいんです。
角川 それはぜひ語って欲しい。出演者はもちろん、技術、音楽、美術……みんなに、この映画に関わって良かったと思って貰えること。それがこれからの貴方の役目ですよ。
石井 そうですね。
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本記事の全文「石井裕也×角川歴彦 俳優たちは『広告がなくなってもいい』という覚悟で撮影に臨んだ」は「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
〈映画『月』受賞記念対談〉石井裕也×角川歴彦 俳優たちは「広告がなくなってもいい」という覚悟で撮影に臨んだ
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