「今、ヤクザは銀行口座は作れないし、ゴルフ場や飲食店も入れない。車、不動産も駄目だ。冠婚葬祭さえできない。葬儀も、警察当局から葬儀場に貸すなと指導がいく」
関東の広域指定暴力団幹部・50代が嘆いた、暴対法(暴力団対策法)が定着した現在の生活とは? 裏社会に入り込み、その実態を明かしてきたフリーライターの真樹哲也氏の文庫『日本で暗躍する外国人マフィア』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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ヤクザはつらいよ
──本日はお忙しい中、インタビューを受けていただき、ありがとうございます。よろしくお願い致します。
幹部 そんなにかしこまらなくていいよ。気楽にね。言える範囲のことしか話せないけど。よろしく。
──まず、現役ヤクザの幹部の方が、大きな括りでいう外国人マフィアをどう見ているかをお聞きできればと思います。
幹部 自分たちがこれだけ暴対法(暴力団対策法)で警察に締めあげられている中、正直うらやましいよな。今、ヤクザは銀行口座は作れないし、ゴルフ場や飲食店も入れない。車、不動産も駄目だ。冠婚葬祭さえできない。葬儀も、警察当局から葬儀場に貸すなと指導がいく。ヤクザへの利益供与になるというわけ。家族葬という形式なら大丈夫だが、バレたらアウトだ。警察の反社(反社会勢力)チェックは本当に厳しい。
こないだ出前で事務所に弁当も頼めなかった。弁当屋からすればまとまった注文が入るヤクザ事務所はありがたい。良いお客さんだから売りたいのにだよ。車の免許の住所と住んでいる場所が違うだけで逮捕されるしな。そんなこと一般人ならありえないよ。
それに対して、外国人マフィアは日本のヤクザのように名簿もない。警察も誰がメンバーか把握できていないだろうし、捕まっても刑期はヤクザより軽い。怒羅権のように準暴力団指定をされても、ヤクザとは段違いに甘い。シノギでバッティングすることもあるし、本音を言えば外国人マフィアは邪魔な存在だな。
──暴対法と暴排条例(暴力団排除条例)は人権侵害に近いという見方もありますね。日本国憲法にも抵触する可能性もあります。ですが、外国人マフィアが邪魔な存在だというのが意外でした。外国人マフィアとトラブルや衝突はあるのですか?