バービーの彼氏・ケンの存在で大爆笑できる作品に
そこで欠かせなかったのは、ケンを演じたライアン・ゴズリング。彼が、現実社会から家父長制をバービーランドに持ち帰る“おバカ”な役を一手に引き受けてくれている。ガーウィグはマテル社の幹部まで持ち出し、家父長制を痛烈に批判しているのに、彼のおかげで映画全体が大爆笑できて、しかも愛すべきものになっている。
バービー自身も、現実社会で完璧じゃなくて良いことを学ぶ。つまり成長物語であり、複流には母娘の物語もある。それはガーウィグが『レディ・バード』(17年)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19年)で一貫して描いてきた個人的な物語でもあり、じんとくるのだ。最後にプラスチック製の人形が自分の存在意義を見出す。これ以上に泣けるハッピー・エンドもないと思う。
INTRODUCTION
世界一有名なファッション・ドール、“バービー”が初の映画化。「You Can Be Anything(なりたい自分になれる)」を発信してきたバービーを通じて、現実社会の問題を描き出す。公開直後から北米をはじめ世界的に大ヒットを記録し、2023年公開作の中で世界興行収入ナンバーワン作品となった。監督は『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ。主演のマーゴット・ロビーがプロデューサーも務めた。
STORY
すべてが完璧な「バービーランド」で、毎日パーティやドライブを楽しんでいたバービーだが、ある日、体に異変が起こる。原因を探るため、バービーはボーイフレンドのケンとともに人間の世界へ。そこはバービーランドとは勝手が違うことばかりで、二人は行く先々で騒動を起こす。完璧からはほど遠い世界で彼女が知ってしまったこととは? そしてたどり着いた答えとは――?
STAFF & CAST
監督&脚本:グレタ・ガーウィグ/出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、ウィル・フェレル/2023年/アメリカ/114分/原題:BARBIE/配給:ワーナー・ブラザース映画