目次絵の細長いスぺースを反物に見立てて
20点の連作を仕上げ、2022年秋にこの作品群だけの個展を開催。そして2023年にも新たに20点を制作し、「NEO美人画2023」を開催しました。
今回、「文藝春秋」1月号の目次絵には、細長いスぺースを反物に見立てて着物の柄をあしらいました。縁起のいい丸紋と、女性美を象徴する蝶々の小紋。日本古来の美しい紋です。この柄の着物は「NEO美人画」の最新作にも登場するので、どんな女性が纏うのか、見ていただけたら嬉しいです。
「NEO美人画」はNFTというデジタルデータとしても発表していて、ウェブ上でも見ることができます。NFTは最新の技術でコピーライトとナンバリングが管理され、限られた数の複製データが「代替不可能な本物」として存在し続けます。この仕組みは、浮世絵師が多くの人に作品を見てもらうために浮世絵を版画にして摺っていたのと似ています。一点ものの美術作品は誰かが家の奥にしまったらもう見られませんが、そうならないのがいい。リアル世界の個展と、デジタル世界のNFTの両方で発表する「NEO美人画」プロジェクトは、5年は頑張って続けようと思っています。
2023年はコロナ禍が明けて猛烈に忙しくなり、前年のように時間が作れず苦労しましたが、着物を着慣れている佇まいの美しいプロの方にモデルを依頼することができたので、創作意欲が掻き立てられ、まるで新しい表現となりました。世の中にはいろいろな美術表現がありますが、美人画は私にとって見ていて気持ちいいもの。伊東深水や志村立美の細い線で描かれた結い髪やスパッと筆一発で決まった着物の縞には快感すら覚えます。油画で学んだ写実表現と漫画表現の間にあるとも感じていて、私なりの美人画をこれからも模索していくつもりです。見てくださる皆様にも、着物と現代女性を通した日本美を愉しんでいただけたら幸いです。
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