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<BEST CINEMA 2023>楽しく華やかなビジュアルに重層的な語り口――世界的大ヒット作が第1位!

<BEST CINEMA 2023>楽しく華やかなビジュアルに重層的な語り口――世界的大ヒット作が第1位!

「週刊文春CINEMA」BEST CINEMA 2023

source : 週刊文春CINEMA 2023冬号

genre : エンタメ, 映画

note

「週刊文春CINEMA」にこれまでご登場いただいた57名が選んだ、2023年公開作品の中のベストテンを発表! 57名の選者別ベストテンは「週刊文春CINEMA」2023冬号に掲載しています。 

第1位『バービー』(106.5点)

公式サイトより

「ユーモア、プロダクションデザイン、音楽、コレオグラフィー、どこを見ても抜群」(猿渡由紀)

 そう評される明るくパワフルな今作が、2023年の第1位! しかし「全世界で最大のヒットになったのは素晴らしい。それがコケた日本と韓国の家父長制の根強さよ」(町山智浩)という嘆きの声も。

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ピンク色の世界で問いかける「死ぬことを考えたりする?」

 バービー(たち)とボーイフレンドのケン(たち)が住む、主にピンク色で構成された世界“バービーランド”。彼女たちは未来永劫、毎日パーティーして暮らすはずだった。ところが一人のバービー(マーゴット・ロビー)があることに気づき、他のバービーに問いかける。「死ぬことを考えたりする?」

「全シーンが重層構造をもち、死と不安がダブルミーニングによって生への肯定へと反転する」(鴻巣友季子)

フェミニズム映画でありつつ男性からも高評価

 予想外にディープな疑問をきっかけに、彼女とケン(のうちの一人。ライアン・ゴズリング)は人間界に旅立つ。そこで目撃した「男性優位社会」にすっかり魅了されたケンは“バービーランド”を男の国“ケンダム”に変革しようと目論むが――。

 フェミニズム映画ではあるが、決して男性性を断罪して終わりではなく、「男性にも明日からのヒントをたくさんくれました」(小出祐介)と、爽快な鑑賞感。何しろ、

「私は自分の卵巣のMRI画像に映画のラストの台詞を添えたTシャツを自作し、持病の手術に臨んだ。勇気りんりんの1本」(石山蓮華)

 ここまで人をエンパワメントする作品、そうあるだろうか?

「週刊文春CINEMA」≪BEST CINEMA 2023≫

<選者57名>
アンジェリーナ1/3 石井千湖 石川慶 石山蓮華 宇垣美里 内山昴輝 冲方丁 海猫沢めろん 柄本佑 小川あん 尾崎世界観 尾崎将也 梶尾真治 春日太一 門脇麦 川原瑞丸 菊地成孔 キュウ 桐谷健太 小出祐介 鴻巣友季子 小西桜子 斎藤工 佐向大 猿渡由紀 澤井健 CDB 芝山幹郎 荘子it 曽我部恵一 染谷将太 瀧波ユカリ 滝本誠 玉城ティナ 筒井真理子 洞口依子 鳥飼茜 中江有里 中島歩 中野翠 浜野謙太 原田眞人 PUNPEE 樋口毅宏 ヒコロヒー プチ鹿島 町山智浩 松崎健夫 松本まりか 真魚八重子 マライ・メントライン 村上淳 森直人 山崎まどか 良原安美 リム・カーワイ 渡辺真起子(50音順)

<採点方法>
2022年12月から2023年11月までに公開された映画から10本の選出をお願いしました。その期間外の作品は採点していません。

[採点ルール]基本は「1位→10点」「2位→9点」…「10位→1点」という配点です。10作すべて順不同(順位なし)の場合は「10+9+8+…+1=55点」を10で割り、各作品「5.5点」ずつ。

[作品が少ないケース]例えば5位までしか挙がらなかった場合、「1位→10点」「2位→9点」…「5位→6点」としています。5作挙がって順不同だった場合、「10+9+…+6=40点」を5で割った「8点」を各作品につけています。

[それ以外のケース]8位までは順位があり、以下2作品が順不同、のような場合。8位までは順位通りに配点し、残り2作には「2+1=3点」を2で割った「1.5点」をつけています。

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