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党関係者からの弱々しい答え

 そのが2024年の最初のヤマ場と位置付けているのが4月に行われる総選挙だ。2023年9月時点での韓国国会(定数300)の勢力図は、共に民主党168、国民の力111などとなっている。国民の力は公式には「過半数の獲得」を唱えているが、同党関係者に話を聞くと、「比較第一党も厳しいかもしれない」という弱々しい答えが返ってくる。

 一番の原因は「首都圏」と呼ぶソウル・仁川・京畿道での苦戦ぶりだ。約120議席を占める大票田だが、国民の力の関係者は異口同音に「40議席取れれば、比較第一党になれる」「過半数はとても無理だ」と案じる。与党は、首都圏に住むMZ世代と呼ばれる20~30代からの十分な支持を得られずにいる。

 関係者の一人は「元々、前回の大統領選の勝者は保守ではなかった。反文在寅でまとまった尹氏が勝利したに過ぎない」とも語る。総選挙で、国民の力が第一党になれなければ、その時点から尹政権のレームダックが始まるというのが韓国政界の一致した見立てになっている。

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トランプが巻き起こした大きな混乱

 そして、韓国総選挙をしのぐ、大きなヤマ場が2024年11月にある米国大統領選挙だ。韓国政府当局者は「仮にトランプ前大統領が勝利すれば、日米韓や日韓の関係は吹き飛んでしまいかねない」と懸念する。

 トランプ氏は大統領に在任中、在韓米軍の撤退や米韓自由貿易協定(FTA)の破棄を示唆する動きを繰り返した。このトランプ氏の「同盟無視」の姿勢は、韓国内で独自核武装論を巻き起こすなど、大きな混乱を呼んだ。

 韓国の米国専門家は「韓国人の9割が米韓同盟を支持している。進歩系が日韓関係の改善を批判しないのは、米国が強力に後押ししている事情が大きい」と解説する。韓国政府当局者も「トランプが再選されれば、(日米韓協力の強化をうたった)キャンプ・デービッド精神も簡単に反故にするだろう。そうなれば、進歩勢力が再び、日本に対する批判を強める可能性が高い」と推測する。