韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は2024年、任期5年の折り返し点を迎える。私たち日本人にとって一番気になるのは、尹政権の日韓善隣外交がいつまで続くのかという点だ。2024年には、その行方を占う重要なヤマが2つやってくる。
対日外交は「信念である」
韓国の政府当局者や専門家らは、尹氏の対日外交について「信念であり、ぶれることはない」と証言する。尹氏は2023年8月の日米韓首脳会談後に開いた閣僚懇談会で「私は日米韓を選択した」と言い切った。
側近たちの言葉を借りれば、尹氏は文在寅(ムンジェイン)前政権の失敗の象徴が、日韓関係の悪化だったとも考えている。文政権を蛇蝎のように嫌う尹氏による対日政策の変更はあり得ないという。
ハンガーストライキを行った野党の代表に対し…
ただ、この尹氏の政治スタイルは、韓国内であまり評判が良くない。典型が前回の大統領選を争った野党、共に民主党の李在明(イジェミョン)代表への仕打ちだった。李氏は尹政権を批判し、8月末から24日間にわたるハンガーストライキを行った。
報道では、「(様々な不正疑惑による)拘束を逃れるための防弾断食だ」として、李氏に否定的な反応がほとんどだったが、保守系関係者の間では「尹大統領もちょっと大人げない」という声が出ていた。
元大統領府高官は「私が側近なら、秘書室長か政務担当首席秘書官を見舞いにやらせる。見舞いを非難する人などどこにもいないし、中道を取り込めるのに」と打ちあけた。尹氏は李氏を犯罪者と決めつけ、李氏本人との面会を受け付けず、側近を見舞いにも行かせなかった。
尹大統領は閣僚たちに「あいまいな政策は要らない。白か黒かはっきりした案を示せ」と指示しているという。
保守系の元政府高官は「尹氏は政治家ではない。反対勢力もとは言わないが、せめて中道を取り込まないと政権の浮揚は難しい」と嘆く。
韓国の世論調査会社リアルメーターが2023年9月25日に発表した資料によれば、尹氏の支持率は37.8%。政権与党「国民の力」の37.5%とほぼ同じで、上積みがない。逆に、共に民主党の支持率は46.1%となっている。