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数日で約10億円が集まった

 そう考えると、トランプに対する捜査や起訴が進むにつれ、多額の寄付金が集まり、共和党内の支持率が高まるという流れも理解できる。たとえば、トランプがジョージア州の拘置所に出頭し、逮捕された時に写真が撮られると、トランプ陣営はすぐさま、Tシャツやコーヒーカップにトランプの顔写真と一緒に「決して屈しない!」との文字を入れて販売。数日で約10億円の政治資金が集まった。

 トランプへの支持は、政治的選択ではなく、もはや“信仰”なのだ。

書店に並んだトランプの暴露本『Fire and Fury』©時事通信社

 トランプ自身が切望することが2つある。1つは、捜査や裁判をできるだけ引き延ばすこと。大統領は自らを恩赦の対象にはできないから、就任前に判決が出てしまえば、有罪判決を受けた大統領という汚名を着なければならない。もう1つは、大統領職に返り咲くこと。そうなれば、裁判はいずれも停止となる。

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 とは言え、トランプが選挙に弱いことはこれまでの結果が立証している。前回の大統領選だけでなく、16年のヒラリー・クリントンとの大統領選挙でも、選挙人数でこそ勝利したが、総得票数ではクリントンに及ばなかった。さらに、22年の中間選挙でも、共和党の地滑り的勝利が予想されながら、トランプへの嫌悪感が広がったため、「大敗」を喫した。

信者はトランプと心中する覚悟があるのか

 たしかにトランプには、何があっても離れない鉄板支持者がいる。しかし、同時に、トランプは、選挙の行方のカギを握る無党派層の共和党離れを引き起こす。

 信者にとって最も悩ましいのは、トランプを共和党候補に選べば、民主党に再び苦杯を喫する可能性が高まることだ。信者はトランプと心中する覚悟があるのか。それとも途中で、別の候補者に乗り換え、打倒民主党へとかじを切るのか。そこが注目のポイントとなる。

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2024年の論点100』に掲載されています。