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トランプの言葉を鵜呑みにする信者たち

 しかし、「アメリカを再び偉大に!(MAGA)」などのさまざまなトランプ支持を表す帽子やトレーナーをまとったトランプ信者たちは、教祖であるトランプの言葉を鵜呑みにしていた。

 その直後、5人の死亡者を出した連邦議事堂での襲撃の現場も取材した。

 コネチカット州で弁護士として働く女性(41)は私にこう言った。

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「大統領はたった1人でアメリカ政治から腐敗を一掃しようとしているのよ。他の政治家はトランプを裏切った。私たちが助けなくって誰が大統領を助けることができるの?」

 テキサス州から車でやってきたという男性(60)はこう言う。

「トランプが大統領に選ばれるのを応援するために、ワシントンまで来たんだ。この選挙は盗まれたんだから、今日の議会では、ペンス(副大統領)がトランプを大統領に認定すべきなんだよ」

 最初は暴徒が優勢だった議事堂前だが、だんだん警察や軍隊の援軍が増え、最後は暴徒全体に大量の催涙スプレーを何度も撒いて、撤退に追い込んだ。私も、息が詰まり、目の前が見えなくなるほどの催涙スプレーを浴びた。

 トランプが選挙で敗北して以来、私はこうしたトランプ信者に話を聞きながら、トランプが負けた事実を提示した。しかし、彼らの誰1人として、事実を求めてはいなかった。トランプが勝ったという嘘だけを信じたかったのだ。

「支持者」と「信者」

 私は『「トランプ信者」潜入1年』で、こう区別した。選挙前にトランプを支持していた人は、トランプ支持者。選挙で負けたにもかかわらず、勝ったと信じて疑わないのが「トランプ信者」だ、と。

 信者にとって、教祖に降りかかる裁判や疑惑は、異教徒からの迫害にすぎず、迫害されればされるほど、信者の団結心は固まる。アメリカは、世界の背後には神がいると考えるキリスト教の国で、合理主義の国だから、意図せざることが起こると、誰かが裏で悪巧みしているという発想が発生し、陰謀論との親和性が高い。