「この手の話はタブーです。あたしの場合、昔、ステージで民族の話をして、お客さんをその場で帰らしちゃったという大失態をやらかしました」
酒飲み人生50年……芸能界随一の酒好きとして知られる、なぎら健壱さんが酒の席で絶対にしない「4つの話」とは? 著書『アロハで酒場へ なぎら式70歳から始める「年不相応」生活のススメ』(双葉社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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酒場での一番の肴は会話
酒場では時事ネタやら景気のことなんかを話題に忌憚のない会話を楽しんでいたりするわけですが、タブーな話題というものが4つあるんですね。
ひとつは政治の話。それから応援している野球チームの話。そして、宗教と民族の話。
これはステージなんかでもあてはまることですけども、この手の話はタブーです。あたしの場合、昔、ステージで民族の話をして、お客さんをその場で帰らしちゃったという大失態をやらかしました。
この4つの話題に共通しているのは簡単に言ってしまえば、自分の価値からすると楽しいんだけども、他人の価値からすると楽しくないということですね。
政治と野球の話は、応援している政党とチームの話が一番ダメですね。
まあ、酒が効いてくると何かを批判したり、おちょくったりと、トゲがある発言も出てきたりするわけですが、良識のある大人なら大概の話は冗談ですませられるわけですよ。
ところが、政治や野球、宗教、民族の話は、単に好き嫌いという話じゃなくて、信念や信条が絡んでくるから冗談じゃすまなくなる。つまりそこに己が、我が出てしまう。
あたしは某××球団のアンチ、アンチファンなんですよ。よくわからないですって? つまりですね、そのチームではなくて、チームを応援している過激なファンが嫌なんです。もともと過激な応援で鳴らしている××ファンですが、東京ドームの帰りに巨人ファンの女性を怒りに任せて、何もしていないのに後ろから頭を殴っているのを見てしまってからなんですよ。