「とにかく彼には、歳だからこれはダメだという制約がない。好きなことをやってるからか見た目も若いし、無造作に服を着こなしてるようだけど板についていて粋だしね」
歌手で俳優のなぎら健壱さん(71)が年下の所ジョージさん(68)の生き様に憧れるワケとは? 著書『アロハで酒場へ なぎら式70歳から始める「年不相応」生活のススメ』(双葉社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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趣味の達人・所ジョージ
あたしは趣味人とまでは言わないまでも、飲酒、カメラ、自転車、散歩……などなど熱中しているものがけっこうあります。そんなあたしが敵わないなと思う趣味の達人といえば、所ジョージですね。
彼は端から見たらムダな生き方をしてるように映るかもしれないけど、あたしから言わせたら最高の生き様、生き方をしてるなと思いますね。歳をとって、こんな興味を持ったらおかしいだろというのがないんですよ。
なんにでも興味を持つでしょ。趣味というのはそういうことじゃないかな。
所はあたしよりも年下だけど、彼ももう68歳ですからね。それなのに、ものすごく精巧な戦車のプラモデルを作ってたり、夜中になると指紋がなくなるくらい熱心に拳銃(エアガン)を磨き上げてたりするんですよ。
それでいて、朝の6時頃には畑仕事やってるし、昼間は昼間でバイクをいじってたりしますからね。
とにかく彼には、歳だからこれはダメだという制約がない。好きなことをやってるからか見た目も若いし、無造作に服を着こなしてるようだけど板についていて粋だしね。
お洒落にこだわるなら自分の足で探す
お洒落というと褒め言葉に聞こえがちですが、言い換えれば不自然に服が目立ってるということでもありますからね。服はその人の生き様が表れるもので、着られちゃダメなんですよ。似合いもしない高価なブランド物で着飾っているのにちっとも似合ってない人をたまに見かけますけど、あれは野暮ですね。
それに格好がいいだろうと見せるのは、逆に格好が悪いですよ。つまり格好いいと格好をつけてるとは大違いだと思いませんか。格好がいいだろうと見せる行為ほどみっともないと言わざるを得ない。要するに格好いいとは、自分が発信するわけではなくて、他人様が思うことなんですよ。
もうだいぶ前ですが、喫茶店で俳優のTさんを見かけたことがありましてね。
60歳を過ぎてたと思いますが、クロムハーツのシルバーアクセサリーをつけて、若作りなシャツとジーンズという出立ちで。若作りなのはいいんですが、股上が浅いジーンズで、お腹がTシャツからはみ出ちゃってるんですよ。で靴はというと、そのへんのスニーカーで、そこまでは気を使ってないんです。