『エクスペンダブルズ』シリーズは、画期的なオールスター筋肉活劇だった。

 中心人物のスタローンは『ロッキー・ザ・ファイナル』や『ランボー/最後の戦場』をヒットさせて低迷期から脱出し、ライバルだったシュワルツェネッガーやブルース・ウィリス、人間核弾頭のドルフ・ラングレンまで出演させて世のおっさんたちを涙させた。

監督・脚本・主演スタローンで始まったシリーズも本作で4作目 ©2022 Ex4 Productions, Inc.

観客の欲望を心得たスタローンの「レジェンド特盛路線」

 例えるなら、ジャイアント馬場とアントニオ猪木が、長年の恩讐を乗り越えて、ようやく同じリングに上がってくれた…という喜びに近いものがある。若いころのようなダイナミックな技の応酬やスリリングな攻防は期待できない。ただただ、彼らが一堂に会して、まばゆいスターの輝きを放ってくれればそれで充分満足なのだ。ゴリゴリの戦いは、アクション映画界のエースであるステイサムを始めとして、若手たちが奮闘することで、80年代と現代との融合を見事に果たした。

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喜寿を迎えたスタローン ©2022 Ex4 Productions, Inc.

 そのあたりの客の欲望を、スタローンという映画人はよく心得ていた。『2』ではチャック・ノリスにジャン=クロード・ヴァン・ダム、3作目の『ワールドミッション』ではメル・ギブソンやハリソン・フォードも登場させた。リアルに脱税でムショ暮らしを余儀なくされたウェズリー・スナイプスが、「長く刑務所に入れられていた古参の傭兵」という設定なのも爆笑させられたものだ。