大阪は東京に次いでスクリーンの多い大都市だ。近隣の兵庫、京都を含めると、単館系の劇場だけで10館を超える激戦区である。

病院の敷地内に“文化創造拠点”がある理由

 繁華街・梅田の隣町、扇町に2023年10月にオープンした「扇町ミュージアムキューブ(OMC)」は、250席、150席、50席規模の広さを持つ3つの劇場と会議室サイズの7つの多目的ルームからなる“文化創造拠点”だ。3つの劇場は主に演劇公演などに利用されるが、このうち50席規模のスペースが、扇町キネマとなっている。

スクリーンと座席は可動式 ©芦部聡

「18年に民間主導による“大阪市水道局もと扇町庁舎跡地再開発計画”が始まったのですが、その際『地域の賑わいを醸成する施設を設ける』という要望が出されました。医誠会国際総合病院の敷地内にOMCがあるのは、そういった背景があるからなんです」

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「当面は月のうち3週を映画上映、1週をその他利用という“半常設シアター”として運営します」(宮下さん) ©芦部聡

逆算から生まれたミニシアター

 運営を担当する宮下忠也さんが開館に至る経緯を説明してくれた。かつて同じ扇町には「扇町ミュージアムスクエア」という、小劇場とミニシアターを擁する関西サブカルの拠点があった。OMCにも文化の発信地としての役割を期待する向きは多いだろう。