シネマコンプレックス(シネコン)の増加や娯楽の多様化によって、歴史あるミニシアターや名画座の館数は減少の一途を辿っている。そんななか、新潟県上越市(旧高田市)には1911年の開館当時の姿を残し、今も映画を上映し続けている劇場があるという。国の登録有形文化財にも指定された「高田世界館」。いったいどんな建物なのだろうか。
ここでは、全国のグッとくる光景を探して回る“B級スポットお遍路さん”あさみん氏が、現存する日本最古級の映画館・高田世界館を訪れた際の高田探訪のもようを紹介する。
◆◆◆
風情ある町家が続く高田の街並み
東京駅から北陸新幹線に乗る。都会的な街並みからだんだんと、田園風景が一面に広がる。いくつものトンネルを抜け、高い山々が鮮やかに色づきはじめると、いよいよ新潟県だ。上越妙高駅から在来線、えちごトキめき鉄道に乗り換え2駅、高田駅に着く。
駅に降り立つと早速、駅舎から周辺の商店街に城下町をイメージした雁木風アーケードがのびている。
市街地に入ると今度は、家屋の庇を伸ばした雁木通りが続く。雁木はそれぞれの家屋が歩行者へのやさしさとして庇を伸ばしているため、それぞれ高さや形が違うのが特徴だ。
庇の下はその家のプライベート空間のため、個性が表れる場所でもある。花やぬいぐるみで賑やかにされていると、歩行者も嬉しくなってしまう。雁木の上には雪下ろしのために屋根へと上れるハシゴが常設されているのを見ると、雪国に来たのだと旅情を実感する。
風情ある町家を活用した施設もいくつかあり、そのひとつ「瞽女(ごぜ)ミュージアム」に立ち寄った。かつて麻問屋だった建物では、盲目の旅芸人、瞽女さんについて深く学び、また高田のまちのことも知ることができる。
古い街並みや建物が好きで来たと話すと、高田世界館を紹介された。古い映画館で今でも上映しており見学もできるとのことで、早速行ってみることにした。