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明治時代に建てられた“映画館”

 雁木が続く商店街を歩くと、一角にうっすらと「高田日活」の文字が目に入った。

雁木にうっすらと「高田日活」の文字が見える

 奥へと続くアプローチを辿っていくと、洋風の立派な建物が見えた。これが高田世界館だ。明治時代の1911年に建てられ、現存する映画館では日本最古級。

高田世界館へと続くアプローチの入り口には、上映中や上映予定の映画のポスターが並ぶ

 今もほとんど当時の姿のままであるという。現在も火曜日定休以外は毎日上映している現役の映画館だ。雁木の下には映画のポスターや上映情報が掲げられている。上映する映画は主にミニシアター系のマニアックなラインナップ。そのため本気の映画好きが遠くからわざわざ見に来るようだ。

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 入口まで来ると中から音が聞こえる。上映中のようだ。扉をそっと開けると、すぐそばにスタッフの方がいた。聞くと見学は1回500円。上映していない幕間、15分間のみできるとのこと。あと10分ほどで上映時間が終わるそうなので、少しの間外で待つことにした。

ロビーの様子 

「どうぞ」と迎え入れられると、入口の前にはコンクリート敷きのロビーが広がっていた。壁には昭和初期の重厚な時計が掛かり、客席へと繋がるワインレッドの重々しい扉が懐かしくて泣けてくる。気になったのが、受付横にある小さな窓。これは当時、靴を預ける場所だったとのこと。現在の客席はイスが並んでいるが、昔は座敷で、靴を脱いで観ていたという。

かつて靴を預けていた窓口

 高田世界館は1911年にできた当初「高田座」という名前で、芝居小屋としてスタートした。そのあと活動写真が流行りだした大正時代、1916年には「世界館」という名前に変わり、映画館へと変更。そのあとも1946年には洋画専門の高田セントラルシネマ、1975年には成人映画の高田日活など、過去8回も名前を変えて営業を続けてきた。

 雁木に残る「高田日活」のころには成人映画とあわせてストリップ興行も行われていたらしく、2次元で観たあとは3次元でも楽しめるという最高の娯楽場だったことが想像できる。