藤井アナ 今後、ジャニーズ事務所側にはどんな対応を求めたいですか?
橋田さん 一人ひとり、抱えている問題、求めていることは違う。一人ひとりに耳を傾けて聞いてくださればいいなあと思います。
藤井アナ ジャニーズ事務所だけではなくエンタメ業界全体が変わってもらいたいという会見の言葉に大きく頷いていらっしゃいました。どういう思いなんですか。
橋田さん 僕自身が最もそれを、一番と言っていいほど求めていたことなので、(中略)ジャニーズ事務所が率先して変えていくことで、全体がジャニーズ事務所のおかげでよくなったという結果になってほしいと僕は純粋に思っている。やっぱりこういう風に(特別チームが)言ってくださるとそれに向けて物事が進んでいけば……。僕ひとりの発信だとなかなか難しいと思いますので。
藤井アナは橋田さんが実名で顔出しすることで直面している誹謗中傷などに対する思いを引き出しながら話を聞いたが、橋田さんの本音が見え隠れするインタビューだった。
報道の焦点は「テレビの責任」に
国連人権理の作業部会でも再発防止特別チームでも強調されていたのがメディアの問題だった。再発防止特別チームは「マスメディアの長い沈黙」という表現を使った。
ジャニーズ事務所がその後、2度の記者会見を開いて紆余曲折はあったものの、報道の焦点としては自分たち「テレビの責任」に移った。
「ジャニーズ事務所の性加害問題。私たちメディアはなぜ伝えてこなかったのか。検証します」
そんな桑子真帆キャスターの言葉で始まった9月11日のNHK「クローズアップ現代」はテレビ局が自分たちを検証する報道の節目になった。
1999年に週刊文春がキャンペーン報道を展開。ジャニーズ事務所が文春側を名誉毀損で訴え、2003年には東京高裁で“性加害”を認定する判決が下され、2004年には最高裁で確定している。しかしテレビでこのタイミングで報道した局はなかった。なぜ報道しなかったのか。番組はNHKと民放の合計40人に話を聞いた。
元民放プロデューサーの吉野嘉高氏は、スポンサーなどへの配慮でジャニーズの問題は当時タブーだったと語る。
「ジャニーズは触れないということですよ。触ると大ごとになる可能性があるから。やり過ごしたほうがいいということが最初に言われたし、CMに出ているタレントさんも多いですから。営業(の部署)とかスポンサーさんとか、ジャニーズ関連のものはすべてアンタッチャブルにしていくと。そこから先は自動的にジャニーズネタが来たら、これは扱えないって瞬時に判断するようになっていく。そこにもう疑問も持たない。条件反射……」