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嵐・櫻井翔らニュースキャスターへの起用で「必要以上に慎重に」…ジャニー喜多川氏の性加害問題とテレビ局の“検証”

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2023/10/30

 10月17日、ジャニーズ事務所は社名を「SMILE-UP.」に変更した。今後、同社は被害者への補償に専念する会社になる。翌日、ジャニーズWESTはWEST.へのグループ名変更を発表した。さらに岡田准一に続いて嵐の二宮和也が独立を発表するなど、旧ジャニーズ事務所が揺れている。この局面でテレビ各局は、ジャニー喜多川氏による性加害問題について、長年にわたり報道してこなかった「マスメディアの沈黙」を反省する姿勢を見せ始めている。(全3回の1回目/#2に続く)

ジャニー喜多川氏

◆ ◆ ◆

「聞き取り調査」が早かった局は?

 その内容は各局一律ではない。自局において職員や元職員に聞き取り調査を実施して「自己検証」を進め、その結果を報道番組で公表した局、子どもへの性加害を許さない人権感覚がある報道機関として再出発する姿勢を見せる局など様々だ。

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 NHK、日本テレビ、TBSの3局が10月20日時点で「組織を横断した聞き取り調査」を実施し、その結果を報道番組で公表していた。

 日本テレビは民放ではいち早く、10月4日、夕方のニュース番組「news every.」で「自己検証」の結果を公表した。コーナーのタイトルは「『メディアの沈黙』日テレ社内調査」。放送時間は約29分に及んだ。旧ジャニーズ事務所の2回目の記者会見から間もない時期に、組織的に多くの社員や元社員に聞き取りをして検証していた。

日本テレビ「news every.」10月4日より

 外部専門家による再発防止特別チームの調査報告書(8月29日公表)で、被害が拡大した背景に「マスメディアの沈黙」があったと指摘されたことを受けて、藤井貴彦アナウンサーが「日本テレビは自ら検証を行うことを決め、社内の調査を行ってきました」と切り出した。

 これまでにわかったことを報道局のトップである伊佐治健報道局長とともに報告した。

 日本テレビが行った調査は過去放送の録画などを確認し、20年以上をさかのぼって報道局の記者、番組担当者、各部署の幹部らからヒアリングしたというものだった。

 ポイントは、(1)「週刊文春」のキャンペーン報道と一連の裁判の日本テレビの伝え方(2)ジャニーズ事務所と日本テレビとの関わり(3)イギリスBBC報道以降の日本テレビの対応を巡る検証だった。

日本テレビ「news every.」10月4日より

ジャニーズ側が勝訴した一審判決だけ報じた

「週刊文春」の記事は名誉毀損だとして旧ジャニーズ事務所が文藝春秋側を訴えた民事裁判の一審判決で、ジャニーズ側が勝訴、二審判決で「セクハラ記事」の真実性が認められ、最高裁で二審判決が確定したが、日本テレビがニュースで報じたのはジャニーズ側が勝訴した一審判決だけだった。

 二審判決以降はなぜ伝えなかったのか。当時の裁判担当の記者は、二審判決も一審同様に文春側に賠償を命じる判決だったため、報道する判断に至らなかった可能性があるとして、また記者の当時の上司も「芸能界という特異な世界での出来事という認識だったと思う」としている。

 日本テレビは報道局内だけでなく、これまで旧ジャニーズ事務所と関わってきた編成や制作の部局の幹部にもヒアリングしている。

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