「創業者ジャニー喜多川の性加害問題について、世の中を大きくお騒がせしておりますことを心よりお詫び申し上げます」

 5月14日(日)の夜、ジャニーズ事務所が創業者で前社長の故ジャニー喜多川氏の性加害について、藤島ジュリー景子社長の動画と文書を発表して公式に謝罪した。週刊文春やBBCによる告発報道でもこれまで沈黙を守ってきたジャニーズ事務所。多数の人気タレントを擁する事務所の初めての公式発表は、それだけで大きなニュースバリューがある。

動画にて謝罪をしたジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長

扱い方にはかなり“温度差”があった

 だが、この日まで民放キー局は5月11日(木)のTBS「news23」を唯一の例外として、この話題をほとんど黙殺、無視してきた。

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 所属するタレントが様々な番組に出演するジャニーズ事務所は、テレビ局にとっては圧倒的な権力でもある。その事務所の意向を“忖度”してのことだった。

 そうした中でジャニーズ事務所が公式に謝罪した。事務所の発表だから、事務所の顔色をうかがう必要などないはずだ。実際、それまで沈黙を貫いてきたテレビ各局も、ニュース番組や情報番組で一斉に報道した。だが、その扱い方にはかなり“温度差”があった。

 各局はジャニーズ事務所の“性加害”をどのように伝えたのか。発表当夜から翌日の番組を検証してみた。

 いうまでもなく、多くの国民にとって大きな関心事である。番組の冒頭で伝えるべき事柄だろう。ところが——奇妙なことが起きていた。

番組トップで伝えたのか? 民放で目立った“腰がひけた報道”

 ほとんどの番組が番組表のテキスト情報では「ジャニーズ社長が公式に謝罪」などと前ふり情報を出しながらも、番組が始まってもこのニュースがなかなか登場しない……。そんな状態が続いていた。特に翌朝の民放の情報番組でこうしたケースが目立っていた。

 安住紳一郎アナウンサーが司会するTBSの「THE TIME,」、水卜麻美アナが司会する日本テレビの「ZIP!」、テレビ朝日の「グッド!モーニング」、フジテレビの「めざましテレビ」。判で押したように、ジャニーズ事務所のニュースを目立たせない姿勢で“横並び”なのだ。

 冒頭からは放送せず、番組の途中で申し訳程度に“ストレートニュース”として伝える。ニュースの後もキャスターらがコメントすることなく、すぐ次の話題に進むなど早めに切り上げようとする姿勢も同じだった。