「専門家の声」を入れているか
もう一つ、筆者が注目したのは専門家の見解を聞いているかどうかだ。こうしたニュースを短時間で伝える場合、会社が発表したという事実をそのまま伝えることになってしまいがちだ。それだと視聴者に多角的な見方を伝えるべき報道番組としては物足りない。
だが、多くの番組が「ストレートニュース」に終始していた。性被害について専門家の見解を交えて伝える方が、問題をより正確に理解することにつながっていく。筆者が調べたところ、専門家に見解を聞いていたのは以下の番組だった。
・NHK「おはよう日本」「ニュースウオッチ9」(性暴力被害の研究、被害者支援を行う上智大学・齋藤梓准教授)
・日テレ「ミヤネ屋」(元検事の亀井正貴弁護士)「news zero」(性暴力の被害相談を受けるNPO法人「ぱっぷす」金尻カズナ理事長)
・TBS「Nスタ」「news23」(子どもの権利保護に詳しい琉球大学・白木敦士准教授)
特に「news23」は、前の週に番組で13歳の頃の性被害を証言した元ジャニーズjr.の橋田康さん(37)や初めて顔出し実名で記者会見をしたカウアン・オカモトさん(26)が今回の発表をどう思うかを改めて語らせた上で、ジャニーズ事務所が「被害者の精神的ケアへの配慮」を理由にして第三者委員会を設置しないとしたことを白木准教授の見解を引いて批判気味に伝えていた。
(琉球大学・白木敦士准教授)
「被害を訴えている方の精神面に配慮するのは全ての性犯罪において当然のこと。
『被害者の声』を安心して寄せてもらうために被害者のケアをしながら事務所から完全に独立した第三者委員会を設けることが重要だ。第三者に指摘をしてもらうからこそ再発防止に生かしていける」
では、各番組のキャスターやコメンテーターは、ジャニー喜多川氏の性加害についてどうコメントしていたのだろうか。
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