ジャニーズ性加害問題について、テレビ局で自己検証をいち早く行ったのはNHKである。9月11日の「クローズアップ現代」で報道や芸能関係の職員、元職員、元幹部らへの聞き取りを行っている。内容については中途半端だという批判もあったが、公共放送として関係する職員らにヒアリングを実施して検証を真っ先に行った意味は大きい。これが日本テレビやTBS、フジテレビの自己検証につながっている。(全3回の2回目/#3に続く)
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「NGリスト」の存在が発覚
NHKはこの問題で「独自報道」、つまり他社にはない「スクープ報道」を行い、報道全体を引っ張っている。
10月4日の「ニュースウオッチ9」で、2日前に行われた旧ジャニーズ事務所の記者会見で「NGリスト」が作成されていたことを特報した。
この報道を民放や新聞各社などが一斉に後追いしたことで、旧ジャニーズ事務所が行った記者会見のあり方そのものに大きな疑問符がつき、メディア側からは再度の会見開催を求める声が上がった。
個室内で下着を脱がされ、性被害に
さらにNHKは、10月9日の「ニュース7」と「ニュースウオッチ9」で、他局がまだ伝えていない「独自報道」を展開した。NHKの音楽番組に出演を希望してダンスの練習に参加した当時高校生だった男性が、NHKのトイレでジャニー喜多川氏から複数回の性被害にあったと証言したニュースを特報した。
2002年当時、男性はジャニーズJr.が出演していた音楽番組「ザ少年倶楽部」への出演を希望し、NHK放送センターでダンスの練習に参加した。その際、会場にいたジャニー喜多川氏から休憩時間に声をかけられ、部屋の外の男性用トイレに連れていかれ、個室内で下着を脱がされ、性被害にあったと証言。大きなショックを受けたと話しているという。
NHKは「放送センター内で深刻な性被害を受けたという男性の証言を重く受け止めています」とコメントを発表。証言によると、この男性は5回ほど同様の被害にあったという。