旧ジャニーズ事務所はこの報道と同日に、「本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接して」いるとして、報道機関に「十分な検証」を求めた。10月18日に行われたNHKの稲葉延雄会長の定例会見では、この性加害疑惑の報道について言及。NHKの取材に旧ジャニーズ事務所は「そうした事実はございません」と否定していたが、担当者は「NHKとして事務所にその趣旨を確認したところ、『事実かどうか確認できていない』という趣旨だと回答を得ています」と説明。「取材に基づいて報道しています」と強調した。
性加害にテレビ局はどう関わってきたか
NHK局内での性加害の疑惑が出てきたことで、ジャニーズ性加害問題にテレビ局がどう関わってきたのかという新たな局面に入った。単にメディアとして「沈黙」していたというだけにとどまらない。テレビ局の施設が性加害に利用されていたということになると、建物を管理するテレビ局の管理責任が問われる。性加害の場を提供していたことになるからだ。
NHKに限らず、ジャニー喜多川氏がいくつかの局に自由に出入りして使える部屋があったならば、今後は同じような証言が民放の番組に関連して飛び出してきてもおかしくない。元忍者の志賀泰伸さんはテレビ朝日のプレハブ内のトイレで性被害を受けたと訴え、調査を求める声をあげている。
民放では、前述の日本テレビやフジテレビと同様に、組織として検証する姿勢を示したのがTBSだ。
10月7日にTBS「報道特集」で検証
TBSは10月7日の「報道特集」で、旧ジャニーズ事務所とTBSの関係を検証する特集を放送した。放送時間は27分に及んだ。同番組ではTBSの社員らから聞き取った証言の一部をスタジオに貼り出して、組織的にヒアリングを行ったことを報告した。
「私たちはニュースや報道番組を担当する報道局の社員や元社員、ドラマやバラエティーをつくる制作担当を経験した社員や元社員、そしてすべての番組を管理し、芸能事務所の窓口にもなる編成局編成部を経験した社員や元社員、合わせて80人以上を取材し、様々な証言・意見を得ました」(上村彩子アナ)