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「性行為をすることは大罪と教え込まれ…」

 だが、成長するにつれ、樋山さんは“普通の女の子”に強く憧れるようになっていった。高校生の時には同じクラスの男の子と交際。しかし、周囲に悟られないよう交際を続けたが、長続きしなかった。

 19歳になった頃、その元恋人と再会。樋山さんはある決断を下す。

「性行為をすることは大罪と教え込まれてきました。だから両親やエホバと縁を切るにはあえて性行為をするしかないと思いました。人並みの生活と自由を手に入れるために、罪を犯したのです」

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 しかし、エホバでは婚前交渉は信仰上禁止されている。エホバの教えにまつろわぬ外部の人間と性行為をした――そのことは教団に知れ渡り、樋山さんは両親と共に「審理委員会」に呼びつけられた。

樋山さんの母

 王国会館と呼ばれる施設で対面した40代から50代の「長老」たちは、メモを取りながらこんな質問を浴びせてきたという。

「洋服は何枚脱ぎましたか? 挑発的な服を着ていましたか?」

「どのような体位でしたか?」

 樋山さんは言う。

「当時私は未成年です。男性しかいない部屋で、性行為のことを1時間弱も詰問されたのです。どれだけ精神的に追い詰められるのか想像できないのでしょうか。明らかな人権侵害です」