昨年10月、福岡県久留米市のマンションで、公立小学校教師を務めていた渡邉彩さん(当時35)の遺体が見つかった事件。1月12日、死体遺棄の罪で起訴されていた夫・渡邉司被告(41)の初公判が福岡地裁であった。渡邉被告は「埋葬しようという気持ちになれなかった」と起訴内容を認めた。

 同日、殺人の疑いでも再逮捕された渡邉被告。夫婦の間に一体何があったのか。凄惨な事件を詳報した「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:文春オンライン 2023年10月23日掲載 年齢・肩書きは掲載当時のまま)

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 奇怪な死体遺棄事件が発覚したのは、10月19日22時過ぎのことだった。

 現場は、福岡県久留米市東櫛原町に建つデザイナーズマンションの最上階、2LDKの一室。室内に横たわる遺体は、着衣のまま腐敗が進行していた。市内で公立小学校教師を務める渡邉彩さん(当時35)の変わり果てた姿だった。

亡くなった渡邉彩さん(卒業アルバムより)

「彩さんと連絡が取れないことを案じた弟が、部屋を訪れて遺体を発見。『姉が亡くなっている』と110番通報しました。彩さんは約1カ月前に死亡したとみられ、当時、部屋にいたのは夫のみ。一家は4人家族でしたが、9歳の長女と5歳の長男は、夫の実家に預けられており、無事が確認できています」(社会部記者)

 翌20日、福岡県警は夫の会社員・渡邉司容疑者(41)を死体遺棄容疑で逮捕した。

「同日、県警が彩さんの遺体を司法解剖していますが、腐敗が進んでいたこともあり、死因は特定できていません。ただ、少なくとも司容疑者は、何らかの事情で死に至った彩さんを室内に放置し、朽ちていく妻の亡骸と過ごしながら、発覚を遅らせる“工作”をしていました」(同前)

 6年生を受け持つ彩さんが最後に出勤したのは、1カ月前の9月20日。翌日、勤務先の小学校に、司容疑者が自ら「妻の体調がすぐれない。休ませてほしい」と連絡をし、以降もその場しのぎの方便を続けていた。

「学校側は電話連絡だけでなく、自宅も訪問していますが、司容疑者は彩さんについて『体調がすぐれない』と繰り返すばかりで、学校側は直接本人の安否を確認することができなかった。そのため、9月末に市の教育委員会に『原因が分からない休みが続いている。本人とも連絡が取れない』と相談していました」(同前)

 その9月末、彩さんの欠勤が続く小学校で運動会が開催された。保護者の1人が明かす。