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「エサの買い出しのため、5時間並びました」

 時に人命すら危ぶまれる極限状態で、ペットに気を配る余裕を持てるか――。残念ながら難しいのが現状だ。山口氏が地震後に訪れた穴水町役場の職員は「ペットのことは何もわかりません」と嘆いていたという。災害時、安心して動物を預けられるような施設や団体はほとんどない。ペットがケガを負ったり病気にかかったりしても、地域の獣医もまた被災している場合が多く、満足な治療を受けられるとは限らない。

倒壊した家屋の前で、動物の名前を叫ぶ住人

 ペットとともに過ごすことができる避難所の環境があるだけでもまだましかもしれない。倒壊した家屋や亀裂が入った道路を避けるようにしながらチワワを散歩させていた30代の女性が打ち明ける。

「ペットと避難所で生活できるとは聞きますが、なかなか踏み出しづらいのが本音です。今は知り合いのところに身を寄せていますが、いつまでそこにいられるかもわかりません。今日はエサの買い出しのため、ドラッグストアに5時間並びました」

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 救援物資も人間優先。食べ物や水も足りない中で、ペットの分まで要求するのは心理的ハードルも高い。女性は愛犬をそっと抱き上げ、肩身の狭さを嘆くのだった。

穴水町役場の前に繋がれた迷子のイヌ

 石川県で保健所に登録されているイヌは、4万7000頭を超える。未登録のイヌや、登録の必要のないネコやハムスターなど他の動物を考えると、被災したペットの数は計り知れない。

「ペットは死んでもニュースにはほとんどなりませんし、統計も取られません。今回の地震で、一体何頭の動物が犠牲になってしまったのでしょうか」(前出・山口氏)

 ペットもまた厳しい新年を迎えている。