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「佐川氏証人喚問の核心部分」を臨床心理士が分析する

言葉とは裏腹だった気になる仕草とは

2018/03/29

 人は疑惑や疑念を感じている時、相手がどう答えたかだけでなく、答えている時にどう見えるかによっても、それが真実かどうかを判断しようとする。そして疑わしい所を、無意識のうちに見つけ出そうとするものだ。無用な仕草や表情が出ないよう、コントロールが必要な時もある。

瞬時にNOと判断できない何かがあったのか

 佐川氏には、そんな習慣も心の余裕もない。丸川氏も彼のわずかな仕草に気付かないため、誰から指示があったのかと疑惑の対象を順番に挙げていく。「安倍総理から指示はありませんでしたね」と誘導尋問的に聞かれても佐川氏の頭は動かない。総理夫人についても同じで「ございません」と即座に否定。ところが官房長官、官房副長官と聞かれると頭が左右に動いてしまった。瞬時にNOと判断できない何かがそこにあったのだろうか。見ている側には一瞬、首を傾げたように見えたはずだ。それなのに「ございません」と否定したのだから、見ている側には、官邸を守ろうという佐川氏の意識が見えたのだ。

 

 続けて、麻生大臣や大臣秘書官から指示があったかと丸川氏が聞くも佐川氏の頭は動かない。こういう質問の仕方には危険が潜んでいることも多い。財務省の事務次官という言葉を聞いた瞬間、彼の身体は前後に大きく揺れた。官邸や政治家の関与を完全に否定しながらも、それがどこか疑わしい印象を与えたのは、こんな風に彼の仕草が人によって異なっていたから。そして、それにもかかわらず、間髪いれずにきっぱりと否定したからだ。

 丸川氏がもう一度「政治家からの関与はなかった」と確認するように発言すると、今度は身体を大きく前後に揺らし座り直したように見える。YESを強調しているのだが、座り直すという仕草は、嘘のサインだと元刑事から聞いたことがある。関与はなかったと言い切ることに、少なからず不安を感じたと捉えることもできるだろう。

 

佐川氏の表情が変化した役職名

 佐川氏がそんな仕草を一度見せたからと言って、それが答えではない。もう一度、こんな場面があればと思って証人喚問を見ていると、午後の衆議院予算委員会の証人喚問で自民党の石田真敏氏が、丸川氏の質問について振り返ってくれた。丸川氏と同じように疑惑となっている対象の役職名を1つずつ読み上げていく石田氏。それを聞いていた佐川氏の表情が変化したのは、官房副長官と聞いた時だ。思わず片方の口元に力が入り、息を大きくついた。ここでも官房副長官という言葉に、佐川氏は反応した。