ホンダの人気車種「N-BOX」で使用されている部品をめぐり、製造元の大手自動車部品メーカー「TOYO TIRE(トーヨータイヤ)」が、両社の契約で定められた管理基準から大幅に外れた数値のまま納入していることが「週刊文春」の取材でわかった。トーヨータイヤはこの部品について自社の検査で〈管理基準を満たしていない〉という結果が出た事実をホンダに報告しておらず、この部品は、すでに出荷された車にも使用されている可能性がある。

 トーヨータイヤは1945年に大阪市で設立。従業員数は1万1744名(2022年12月31日時点)で、2022年12月期の連結売上高は4972億円。2019年に社名を「東洋ゴム工業」から現在のトーヨータイヤに変更している。

トーヨータイヤHPより

 同社は大手自動車メーカーに部品の納入を行っている。「N-BOX」を販売するホンダもその1つだ。

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人気車種に使用された“不適合部品”とは

「『N-BOX』は、軽自動車にもかかわらず、車内空間が広いことが特徴です。2011年の発売から2023年末時点までで累計販売台数が250万台を突破した人気車種です。昨年1年間だけでも約23万台が売れ、軽四輪車新車販売台数は9年連続1位を記録しています」(自動車業界担当記者)

人気のN-BOX(ホンダHPより)

 2023年10月には新型モデルが発売された。そんなホンダの看板車種「N-BOX」にトーヨータイヤ製の“不適合部品”が使用されている可能性があるという。

「その部品とは、トレーリングアームブッシュと呼ばれる部品です」(トーヨータイヤ現役社員)

「ゴム製の部品で車体底のタイヤ付近に使われています。段差を乗り越える時やアクセルやブレーキで車体が動く時に発生する揺れを抑制して乗り心地に作用します。設計通りでない場合、ただちに車体の故障や事故が発生するわけではありませんが、乗り心地が不安定になる可能性があります」(自動車業界関係者)