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マーク・ラファロが「あそこまで大胆かつ勇敢にやってくれるとは」

 それらのシーンで最もよくストーンのお相手を務めるのが、マーク・ラファロ。ラファロ演じる弁護士ダンカン・ウェダバーンは、ベラを旅に連れて行き、広い世界を見せようとする。だが、彼は決してベラにとっての理想的な王子様ではなく、女性をコントロールしようとする傲慢な男性のひとりだ。ストーン同様、ラファロも、この映画で新しい領域に挑む。

「バクスターは特別な役です。他に思いつくことができませんし、この先も出会えることはないでしょう」(ウィレム・デフォー) ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「マークはすばらしい。彼にユーモアのセンスがあるのはわかっていたが、このキャラクターに必要とされることをあそこまで大胆かつ勇敢にやってくれるとは思わなかったね。ダンカンのキャラクターは決して良い人ではないが、マーク本人の人柄が少し入ってくることで、完全な悪人にならなくてすんだとも思う。彼はあのキャラクターに奥行きを持ち込んでくれた。それに彼はリハーサルの時から、その場を明るく、リラックスした雰囲気にしてくれたんだよ。その意味でも、彼がこの映画に参加してくれたのはありがたかった」

次回作もストーン、ラファロ、デフォーが出演

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 その気持ちは、お互い様のようだ。ラファロも、またベラの父親的存在であるバクスターを演じたデフォーも、ランティモスとの仕事を心から楽しんだようだ。なぜなら、次回作『AND』には、ストーン、ラファロ、デフォーがまた揃うからだ。すでに撮影を終えているこの映画には、いずれもオスカー候補俳優であるジェシー・プレモンスとホン・チャウも出演する。フィルムメーカーとして尊敬を集めているランティモスの作品に出たいというのもあるだろうが、彼がやりやすい現場を作ってくれるのも、俳優にとって魅力であることは間違いない。ダークで複雑、残酷さもある映画を作るが、ランティモス本人は、誠実さのある、おっとりとして落ち着いた人。そして彼は、初心を決して忘れないのだ。