「ギリシャで映画を作り始めた頃、僕には何もなかった。資金を出してくれる人もおらず、ごく限られたお金で、友達と一緒に、映画への愛を原動力に作品を作ったものだ。だが、そこには、仕事への情熱と、熱心さがあった。自由があったし、新しいことを試してみようという冒険心、柔軟性も。そして何より、感謝の気持ちがあったんだ。手がける映画の規模が大きくなり、もっとたくさんの人たちがかかわるようになっても、その精神を失わないように、僕は心がけている。それは作品自体にも影響を与えるはずだと、僕は信じているよ」
ヨルゴス・ランティモス 1973年ギリシャ・アテネ生まれ。初の長編作品『Kinetta』(05年)の後、『籠の中の乙女』(09年)で第62回カンヌ国際映画祭ある視点賞を受賞し、国際的な注目を集める。エマ・ストーンと初めてタッグを組んだ『女王陛下のお気に入り』(18年)は、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞し、主演のオリヴィア・コールマンが女優賞に輝く。
INTRODUCTION
『女王陛下のお気に入り』(18年)で映画賞を席巻したヨルゴス・ランティモス監督。再びエマ・ストーンとタッグを組み想像を遥かに超えた大胆な冒険物語で、第80回ヴェネツィア国際映画祭では最高賞である金獅子賞を受賞した。エマ・ストーン演じるベラを蘇生させ娘のように慈しむ天才外科医にウィレム・デフォー、そのベラを誘惑し大陸横断の旅に連れ出す弁護士をマーク・ラファロと、一癖も二癖もある芸達者たちが脇を固めている。
STORY
自ら命を絶ったベラ(エマ・ストーン)は、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって蘇生する。ゴッドウィンは、教え子のマックス・マッキャンドレス(ラミー・ユセフ)を招き入れ、ベラを詳細に観察して記録をとるようにと命じる。だが、放蕩者の弁護士ダンカン・ウェダバーン(マーク・ラファロ)が、一目でベラを気に入り旅に出ようと誘惑する。リスボンに到着したベラは、初めて見る街、初めて味わう食べ物などの経験に歓喜し、急速に、貪欲に外の世界を吸収していく。
STAFF & CAST
監督:ヨルゴス・ランティモス/出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ/2023年/イギリス/142分/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/1月26日公開