「主人公ベラのキャラクターが新鮮だった」原作小説
原作小説を書いたのは、スコットランド人作家のアラスター・グレイ。本を読んで映画にしたいと思ったランティモスは、すぐにグレイに会いに行った。
「2011年、英語の映画を作りたいと思ってロンドンに移住した当時、小説をたくさん読んでいた。仲の良いスコットランド人からアラスター・グレイを勧められていくつか読んだところ、この本に出会ったんだ。何より、ベラのキャラクターが新鮮だった。物語も複雑なテーマがあり、とても深い。これがまだ映画になっていないことにも驚き、急いで著者に会わなければと思い、グラスゴーに向かったのさ。僕が訪れると、彼はジャケットを羽織って外に出て、散歩をしつつ街を案内してくれたよ。映画についてはほとんど話さなかったが、彼の家に戻ると、『籠の中の乙女』はとても良かったと言ってくれた。僕がこの小説を映画化してくれるなら嬉しいと。僕は小説の精神に大いに敬意を払うと約束したが、一方で映画にする上では多少構成などを変えなければいけなくなると、念のために伝えた。それに対しても問題ないと言い、『頑張ってね』と言ってくれたんだ」
脚色を手がけたのは、『女王陛下~』の脚本を書いたトニー・マクナマラ。この映画についてエマ・ストーンに話したのは、『女王陛下~』の撮影中だった。ストーンは今作でプロデューサーも兼任している。
「エマとの仕事がとても楽しかったので次の映画の話をすると、彼女はすぐに乗ってくれたよ。ベラのキャラクターにも、僕たちが作ろうとしている世界にも、強い興味を示してくれた。僕が何かを見せては意見を聞くということが繰り返され、彼女は製作に深くかかわるようになったんだ。パンデミックの間も、オンラインでリハーサルをしたり、話し合いを続けた。彼女が製作チームに参加してくれたことは、僕にとって大きかったよ」
フルヌードと過激なセックスシーンに応えたエマ・ストーン
ベラを演じるにあたっては、フルヌードと過激なセックスシーンが要求される。そのような役をストーンが演じるのは初めてだ。
「それはキャラクターの成長や変化の重要な部分だと、エマは理解していた。ベラには恥というものがない。キャラクターを忠実に描くのであれば、ベラを演じる女優もそうでなければならない。それらのシーンの撮影の前には、エマと一緒にセックスのポジションについて話し合ったよ。相手や状況によっていろいろ変えたんだ。ユーモアがあったり、人間性が出たりするようにね。エマもたくさんアイデアを出してくれた」