2023年の年末から年始にかけて、テレビをつければ竹野内豊ばかり見ていたような気がする。

 年が明けて2日には、『義母と娘のブルース』(TBS系)がスペシャルドラマで約6年にわたる物語に幕を下ろし、6日は竹野内が主演を務めたドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)劇場版の地上波初放送があった。さらにBSでは、チュートリアル徳井とスピードワゴン小沢W主演『ビーチボーイズに憧れて』(BSフジ)の放送に伴い、本家本元の『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)が一挙放送されていたのである。

「平成の竹野内豊」と「令和の竹野内豊」を行ったりきたりする中で、ふと一つの疑問が芽生えた。……最近の若者たち、たとえば10代や20代前半くらいにとって、竹野内といえば『ぎぼむす』や『イチケイ』の人になるのだろうか? もしかして“ゆるふわ”の軸と“イケおじ”の軸が交差する場所に置かれている?

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2018年に連続ドラマが放送され、3度のスペシャルドラマ化がされたヒット作『義母と娘のブルース』では、小さなことは気にしない朗らかな父親を演じた竹野内豊 ©時事通信社

“ハンサム”の代名詞であった「平成の竹野内豊」

 平成初期生まれの私からすると、竹野内豊といえば『ビーチボーイズ』の鈴木海都であり、『ロングバケーション』(フジテレビ系)の葉山真二、さらには『BOSS』(フジテレビ系)シリーズの野立信次郎みたいな野性味あふれる色男のイメージが強く、まさに“ハンサム”の代名詞的存在である。

 部屋に竹野内の特大ポスターを貼っていた松嶋菜々子演じる『GTO』(フジテレビ系)の冬月あずさのように、世の女性たちの中では長年“抱かれたい男”として、君臨しつづけてきた。

2004年、ドラマ『人間の証明』制作発表会見に登場した、当時32歳の竹野内豊 ©時事通信社

 同じ時代を第一線でともに駆け抜けてきた俳優たちはどうだろうか。

“抱かれたい男”から“ゆるふわイケおじ”へ

 木村拓哉ならば警察学校の指導教官を演じた『教場』(フジテレビ系)シリーズが、50代を迎えた木村の新たな代表作になった。『相棒』(テレビ朝日系)シリーズで大役を卒業した反町隆史は、現在放送中の『グレイトギフト』(テレビ朝日系)で大学病院の権力争いに巻き込まれる病理医を演じており、順調にイケおじ路線を歩んでいる。

 もちろん映画『シン・ゴジラ』や大河ドラマ『いだてん』(NHK)のように、成熟した魅力を前面に押し出したキャラクターが、竹野内の十八番であることに変わりはない。しかし、『ぎぼむす』が国民的ドラマとして認知されるようになり、『イチケイ』の劇場版が10億円を超えるヒットを叩き出した今、役者としての竹野内のイメージが変わりつつあるのではないだろうか。

 そしてこの“抱かれたい男”から“ゆるふわイケおじ”への変遷は、反町や木村をはじめとする同世代俳優たちの中でも、異彩を放っているように見えるのだ。