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 2021年10月には理事による附属病院をめぐる背任事件が摘発され、11月には前理事長の故・田中英寿氏が脱税の疑いで逮捕される事態も起きた。ただ、この直後の2022年入試では4000人あまりの減少に留まった。

 一般的に、志願者が増えた翌年には反動で減少し、また翌年は増えることを繰り返すことが多い。日本大の志願者数の推移にはその傾向も表れているものの、受験生にとっては学生が関与した不祥事の方が、大学幹部の不祥事よりもイメージが悪いのかもしれない。もしもそうであるなら、今回起きた大麻事件は志願者数に大きな影響を及ぼすことが予想される。

日本大が志願者数を減らし、東洋大に流れるか

 大学入試に関する研究や情報提供を行う大学通信(東京・千代田)では、2024年入試志願者速報をホームページで公開し、主要大学の志願状況を途中集計している。1月17日現在では日本大学の全学部を合計した志願者数は4万2197人で、前年の42.9%だった。大学通信情報調査・編集部の井沢秀部長は、この数字は順調とは言えないと分析する。

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「前年の同じ時期と比べてそこまで減っていないようには見えますが、他の大学の志願状況が前年の50%から60%を超えているのに比べると、やや出足が悪いようです」

©AFLO

 井沢部長は旧アメリカンフットボール部の問題を別にしても、日本大が志願者を減らす可能性は高く、受験生が東洋大に流れるのではないかと予想する。

「前年は日本大の志願者が増えて、競合する東洋大が大幅に減少しました。その点から考えれば、日本大は不祥事がなくても、隔年現象で志願者を減らす公算が大きくなっています。ただ、不祥事がどこまで影響するのかは現時点では何とも言えない状況ですが、受験生が流れるとすれば東洋大が中心になるでしょう」

 日本大の志願者数は、かつては10万人を割ることはなかった。仮に、不祥事の影響によって2019年のような減少幅になれば、9万人割れの事態にもなりかねない。それだけ大量に受験生の志願動向が動くと、他大学の志願者数や難易度にも影響する。日本大が最終的にどのような志願者数になるのか注目だ。