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近畿大学は「10年連続志願者数1位」だが……

 ここで、前年の志願者数ランキング上位の大学を見てみたい。

 私立大学志願者数ランキング2023(大学通信調べ)

 

 近畿大は10年連続でトップ。高い志願者数を誇る要因の一つに、受験料の併願割引が挙げられる。大学入学共通テスト利用方式では、医学部を含まない場合に一律3万円で5志願目まで併願できるなど、様々な併願割引を用意している。

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近畿大学 公式HPより

 2位の千葉工業大は、大学入学共通テスト利用試験の受験料を2021年から無料にしたことで志願者数が増加した。ここに掲載した数字はのべ志願者数で、この2大学はのべ志願者数と実質志願者数の差が大きいと見られている。

 ただ、近畿大には今年の入試でマイナスと取られかねない要素もある。学校法人の理事長は参議院議員の世耕弘成氏。創設者は祖父で元衆議院議員の故・世耕弘一氏で、主に世耕氏の一族が理事長を務めてきた。現理事長の弘成氏は、政治資金パーティー収入のキックバック問題などで揺れる自民党安倍派幹部で、自身も5年間で1500万円あまりが政治資金収支報告書に不記載だった。

 政治資金の問題を受けて、近畿大学教職員組合は12月11日、世耕氏の対応を「学校法人の理事長としても不適切」などとして、世耕氏の理事長辞任を求める団体交渉要求書を提出。その報告をSNSの「X」にポストすると、インプレッションは現在までに130万を超えるなど、反響が大きかった。

 ただ、前述したように理事長ら経営陣の不祥事よりも、学生による不祥事の方が志願者数に影響しやすい傾向がある。世耕氏の政治資金の問題が近畿大の志願者数に影響を与えるのかどうかも、日本大の志願者数とあわせて2024年の私立大学入試の注目点と言えそうだ。