芸能界で感じた「努力でどうにもできない」こととは?
――桜蔭、筑附、東大と、いわゆるエリートコースをたどってきた中で、優等生でいなくては、みたいなプレッシャーはありましたか。
八田 私はどちらかというと優等生じゃない、たとえばギャルとか、そういう自由で華やかな世界に憧れていて。今思うと、「真面目」とか「優等生」というレッテルを貼られたくない気持ちがあったのかもしれません。
でも、変なところで完璧主義だったり、頭でっかちな考え方しかできなかったり……。この歳になって、結局のところ私は型にはまった性格なんだな、と感じています。
あとは、「努力すれば報われる」という経験を積んできているので、何かうまくいかないことがあると、自分の努力不足だったのかも、という自己責任的な思考にはなりがちですね。ただ、芸能界は努力でどうにもできない部分もあるんですよね。
瞬発力とかトーク力とか、人を惹きつける力とか。努力ではカバーできない部分がたくさんあると、理解はしているんです。
でも、きっと才能のある方たちも才能だけではなくて、努力とか分析とかもしていると思うので、それ以上の努力を重ねればもしかしたら近づくことはできるのかも、と思ったりして。実現するのはむずかしいんですけどね(笑)。
子どもが自発的に東大を目指してくれたら嬉しいが…
――八田さんは努力することが身に着いていると言いますか。
八田 どうでしょう(笑)。私は頭が固いので、「~しなきゃいけない」「~すべき」みたいに考えてしまいがちで。融通が効かないんですよね。
そんな中で、芸能界という学力の枠組みを超えた世界に入らせてもらえたことで、本当にいろんな才能溢れる人と出会うことができました。おかげで、自分の生きてきた世界の狭さを知ることができたと思います。
――お子さんにも、努力して東大に行ってほしいと思いますか。
八田 欲を言えば、国立で学費も安いので、本人が自発的に東大を目指してくれたら嬉しいな、とは思います。でも、そうは言っても私でなく子どもの人生ですから、本人に任せたいですね。
ただ、両親が東大ということで、子どもが良い結果を出しても「当たり前だよね」と周りに言われたらかわいそうだなと思っていて(笑)。親として彼自身の頑張りをしっかり見てあげたいなと思っています。
撮影=杉山拓也/文藝春秋