私が思い出した「昭和の事件」
昭和の末にリクルート事件があり、あのときも政治家は「秘書が」「秘書が」と口にしていた。リクルート事件のあとには政治改革の気運が高まった。10代だった私も覚えているが、政治改革が始まって、政治改革大綱ができて、派閥を解消することになった。しかしそのうち政治改革が、選挙制度改革が中心になっていった。中選挙区制から小選挙区制に変えれば政治はよくなるというムードになったのを覚えている。
今回も同じようなパターンだ。政治と金の話なのに、いつのまにか派閥を解散すれば政治はよくなるというすり替えがおこなわれている。だから派閥解散の記事を本気で熟読している人はどれだけいるのだろう? と思ってしまうのである。
ここで新聞報道を見てみよう。
『宏池会「解散」衝撃 首相方針』(読売新聞1月19日)
『岸田派直撃 苦肉の解散案』(毎日新聞1月19日)
重々しく伝えるがそんなに「衝撃」で「苦肉」なのだろうか。だって、現在自民党でおこなわれている派閥解消論議はただの政局ではないのか?
うわべだけの刷新か?
岸田首相はこの2年間、安倍派・麻生派・茂木派などに気を使って人事や政治をおこなってきた。まさに派閥重視の人であり大派閥に頭が上がらなかった。しかし今回派閥を解散して“無派閥という大きな派閥”に転向すれば、麻生派や茂木派を少数派にすることができる。ただの多数派争いにも見えるのだ、皮肉にも。
このように思えるのは先例があるから。菅義偉氏である。菅氏は派閥解消を訴える無派閥の人というイメージがあるが、菅氏を慕う中堅若手の議員グループ(ガネーシャの会)がある。党内外から「事実上の派閥」という指摘もあった。
※「ガネーシャの会」も解散検討をしているという(産経新聞1月25日)。
岸田首相も菅氏を見習って「無派閥」を売りにするのだろうか。これもうわべだけの刷新なんじゃないの?