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2018/04/09

genre : ライフ, 社会, 歴史

興味本位で乗り過ごしてはいけない

 では、一体何でそんな駅を終点とする列車が走っているのか。すでに想像がついているかもしれないが、籠原駅もそうだったように答えは車両基地である。1966年、小金井の人々は間々田駅と誘致合戦を繰り広げた末に車両基地(現小山車両センター)の開設にこぎつけた。その頃から周辺に何もなかったから、広大な用地を必要とする車両基地がつくれたのだろう。ともあれ、当時はまだギリギリSLも走っていた時代。多くの人が車両基地で働き、小金井は鉄道の町として発展したという。が、時代とともに車両基地も自動化が進んで働く人は減る一方となり、今の“ナゾの終点”小金井駅ができあがったのである。

駅前広場に置かれるSLの動輪が、鉄道の町だった時代をしのばせる

 こうした傾向は、JRの中距離列車の終点ではおなじみのパターン。東海道線でも「国府津行」という何もない駅への列車が走っている。直通運転で利便性が増したとは言え、乗り過ごしのリスクは高まっているとでも言えようか。

小金井駅では列車の増解結も行われる

 というわけで、今回の小金井駅も、籠原駅と同じく「何もない車両基地の町」という結論でございます。もちろん、本当に何もないわけではなくて、小金井駅から少し西に歩けば旧日光街道の宿場町だった江戸時代の面影を伝える一里塚があったり、さらに60分くらい歩けば古代下野国の中心地だったエリアにもたどり着く。車両基地の町、小金井で古代の息吹を感じる旅……なんてのはありかもしれない。とは言え、やっぱり寝過ごしはもとより興味本位でやって来たら、きっと後悔することになるだろう。どうせなら、もう少し足を伸ばして宇都宮で餃子でも食べたほうが満足できそうだ。

写真=鼠入昌史

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