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協会に見解を求めると…

 これを受けて竹中工務店側は、地中に杭を打つ工法に切り替えたいと申し出たという。だが、結局、時間的な余裕がなかったために、特殊な工具を使ったジャッキアップなどにより対応することになった。ただし、木製リングの入札時には想定されていなかった工法を使うことになったことで、結果として過大なコスト増加につながってしまったという。

 博覧会協会に対し、地盤沈下についての事実確認と安全性についての見解を求めると、次のように回答した。

〈会場内は大阪市が埋め立てによる土地造成工事を実施しています。埋め立て完了後しばらくの間は沈下することが通常です。

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 このため協会としては、2022年4月に大阪市から引き継いだ会場の造成工事を計画する際に、大阪市の埋立地の沈下予測を活用し、新しい沈下量の実測値を踏まえ、将来沈下量を推計したもので、これに基づき、22年10月から造成工事を実施しています。

 建物の沈下対策としては、設計に係るガイドラインにおいて、建築物等による地盤沈下を抑制するため、新たな上載荷重を加えない基礎形式として浮き基礎等で計画することを推奨しており、建物の設計段階で沈下抑制に配慮するなどにより、安全面の懸念はないものと考えています。

 なお、沈下量は継続して測定しており、現時点では大きな問題は発生していません。〉

首相は発破をかけるが…… ©時事通信社

 2月9日発売の「文藝春秋」3月号及び、「文藝春秋 電子版」(2月8日配信)に掲載した森氏の記事「大阪万博のデタラメ発注を暴く」では、地盤沈下以外にも、リングが落札された時点で抱えていた構造設計上の問題についても指摘されている。また、井上信治氏や若宮健嗣氏ら歴代の万博担当大臣に加え、馬場伸幸代表や遠藤敬国対委員長をはじめ、万博の旗振り役を担ってきた日本維新の会の幹部議員にも、なぜ会場建設が遅れているのかなど、大阪万博を巡る多くの問題点を問いただしている。

文藝春秋

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大阪万博のデタラメ発注を暴く