「検察が期待値を上げたことで『この人たちは悪いのに助かった』みたいに思われるのは、すごく理不尽な話です。法と証拠に基づいてちゃんと捜査に協力した結果、今があると私は思っていますから」

 こう悔しさを滲ませたのは自民党安倍派「5人衆」の一人、萩生田光一前政調会長だ。

 萩生田氏は、筆者が司会を務め、「文藝春秋 電子版」(2月5日から先行公開)及び月刊誌「文藝春秋」3月号(2月9日発売)に掲載される座談会記事「『派閥とカネ』本音で語る」に登場。加藤勝信元官房長官、武田良太元総務大臣と共に、派閥パーティを巡る裏金問題の真相や派閥の功罪について赤裸々に明かした。
 

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萩生田氏 🄫文藝春秋

派閥の会計には責任がないという甘えがあった

 安倍派に関しては、継続的かつ組織的に大規模な裏金作りが行われていたことが判明している。今回の問題の背景について萩生田氏は、こう反省の弁を述べた。

「(派閥からのキックバック分は収支報告書に載せなくていいという)言い伝えを、みんなが律義に何十年も守ってきたのがウチの派なんです。その判断が間違っていたことが今さら明らかになって、恥ずかしい思いをしているのが正直なところです。自分の政党支部の外にある、派閥という二次的な存在の会計処理には責任がないという甘えがあった」

 萩生田氏は1月22日に記者会見し、自身が安倍派からキックバックされた裏金は5年間で2728万円にのぼったことを公表。その裏金は「担当者が机のカギ付きの引き出しに保管していた」と語っていた。
 

加藤氏 🄫文藝春秋

ノルマの減額を知っていたら頑張って売る必要はなかった

「そんなことがあり得るのか」と、筆者が疑問をぶつけると、萩生田氏は次のように釈明した。

「それは、秘書から報告を受けたままを伝えたんです。もしかしたら、もっとちゃんと管理していてくれたのかもしれません」

 約2700万円と、裏金が多額にのぼったことについては、コロナ禍でノルマが減ったことを理由に挙げた。

「安倍派ではコロナ禍の状況をかんがみて、パーティ券の販売ノルマを減らしたことを、事前に事務所担当者が知らなかったという事情もある。もし当時、私が派閥の運営に関与してそれを知っていたら、そんなに頑張って売る必要はなかった。結局、歴代の事務総長たちは全然(ノルマを)オーバーしておらず、我々だけが一生懸命売って、手元に残ったという思いが残ります」