今年1月、ペダル付き原付きバイク「モペッド」を無免許で運転し、70代女性をはねたとして24歳のアルバイトの男が書類送検された。自転車評論家でジャーナリストの疋田智さんは「歌舞伎町や六本木ではこうした『電ジャラス自転車』が多く見られる。今後、電動サイクルのシェアサービスが広まると、より事故リスクは高まるだろう」という――。

危険な違法自転車が人身事故を起こしていた

このところの東京に溢れる「電ジャラス自転車」の無法ぶりを見ていると、事故が起きないほうがおかしかったと思わざるを得ない。電ジャラス自転車とは、ペダルを漕がずに猛スピードで走行できるフル電動自転車などのことだ。

筆者撮影 深夜、ナンバープレートが付いていない違法なフル電動自転車が無灯火で歩道を走っていた。そのすぐ先には交番がある - 筆者撮影

実際に激増している。たとえば、ニュースで話題になったので例を挙げるが、新宿区大久保の路上で、自転車に乗っていた高齢女性を巻き込む事故が発生した。

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ペダル付き原付きバイク「モペッド(※)」を無免許で運転したアルバイトの男(24)が事故を起こし、70代の女性にけがをさせたなどとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)などの疑いで、警視庁新宿署に書類送検されたのだ。男は無保険で、容疑を認めているという(時事通信24年1月18日付)。

※モペッド=MOTOR+PEDAL。「モペット」とも呼ぶ

「楽な自転車」程度の認識なのではないか

この「モペッド」こそ、電ジャラス自転車カテゴリー1の「違法フル電動」である(詳しくは以下の記事を読んでほしい)。時事通信の報道には「無免許で、時速25キロで、赤信号を無視して交差点に進入」云々とあるが、おそらく警察発表そのままだ。

【参考記事】
ペダルを回さず猛スピードで走り去る…危険すぎる「電ジャラス自転車」を、なぜ警察は野放しにするのか

この24歳の男にとっては、この二輪車は「原付」ではなく「なんか『楽な自転車』」程度の認識だったのだろう。実際にネット上ではそういう売り方がされている。だからこそ「ナンバーなしでも、無保険でも、赤信号でも、自転車だから大丈夫っしょ」と考えていたと推測できる。