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歌舞伎町や六本木などを爆走する電ジャラス自転車の乗り手たちがこう言ったら、警察はどう反論するんだろうか。

「あんな電動バイクが無免許で合法だってんだろ? だったら、おれのフル電動なんて、ペダルがついている分、もっと自転車だろうがよ」

このような電ジャラス自転車は今後もどんどん広まっていくだろう。すでに色んな中国系メーカーが、電動サイクルをリリースし始めている。ネット上で一般人が買える。もはやシェアサイクルだけじゃないのだ。

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「楽しい電動サイクル」は危険と引き換え

電動サイクルは絶対にヒットするだろう。

私も試乗したが、乗ってみると楽しいからだ。まるで遊園地の遊具のようなもので、パワフルで、楽ちんで、自由自在。ちょっとしたスリルまである。そして便利だ。しかも無免許OK。そのうえ合法。

だが、それらの快適性、利便性は、すべて「事故の危険性」および「歩道弱者への脅威」「道路の混乱」と引き換えだ。

そもそもで言うなら、ナンバープレートのついた電動バイクを、なぜ歩道に乗せるのだろうか。どこのバカがこんなものを無免許でも合法としたのか。私には本当にワケが分からない。

政府の中に、悪者の首領でもいて「日本の交通をカオスに引きずり込んでやれ、事故を増やせ、歩道の高齢者やベビーカーを引っかけろ、障碍者も轢いてしまえ」と考えているようにしか思えない。

冒頭に紹介したような電ジャラス自転車による事故は、また必ず発生する。一刻も早く対策をとるべきだろう。少なくとも歩道通行は早急に禁止すべきであり、何より電ジャラスたちの暴走運転を取り締まるべきだ。

疋田 智(ひきた・さとし)
自転車評論家
1966年生まれ。東京大学工学系大学院(都市工学)修了、博士(Ph.D.環境情報学)。学習院大学、東京都市大学、東京サイクルデザイン専門学校等非常勤講師。毎日12kmの通勤に自転車を使う「自転車ツーキニスト」として、環境、健康に良く、経済的な自転車を社会に真に活かす施策を論じる。NPO法人自転車活用推進研究会理事。著書に『ものぐさ自転車の悦楽』(マガジンハウス)、『自転車の安全鉄則』(朝日新聞出版)など多数。